1999 Fiscal Year Annual Research Report
氷床コアから得られる気候・環境変動情報の信頼度高度化の研究
Project/Area Number |
09480112
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Research Institution | Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University |
Principal Investigator |
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 仁 北見工業大学, 工学部, 教授 (50201562)
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Keywords | 氷床コア / 年間涵養量 / 層位構造 / クラスレート・ハイドレート / 氷の褶曲構造 / クラウディー・バンド |
Research Abstract |
本研究において、氷床の表面から底部までの結晶粒、C-軸分布、気泡形態の詳細な観察・解析を行い、気候・環境変動情報の信頼度高度化を目指した。涵養量の大きいグリーンランドコアの解析では、表層部の雪・フィルンで密度と結晶粒径がδ^<18>O値が示す季節変動変化と良い相関があることが見出された。一方、涵養量が水換算で3cmという少ない南極ドームコアの表層部の層位解析では、2.5m毎の平均層位の厚さ、層構造を示すクラスレート・ハイドレートの厚位層が酸素同位体比(δ^<18>O)と氷の流動から求められる年間涵養量にほぼ一致することが分かった。前者は、深層部の気泡、そしてクラスレート・ハイドレートの数密度の深度層位分布に季節変動を残すことを示唆するものであり、δ^<18>O等で季節変動が見出されない南極ドームコアで平均層位構造厚が深部に至っても年間涵養量にほぼ一致するという意外な結果を解釈するための重要な情報である。もう一つの目的として、氷床底部層に見られる褶曲、曲がり構造変形に起因する層位構造の乱れによる気候・環境変動情報の不確定を実験的に調べることについては、Cloudy-band層を含む氷試料を変形して、層位の乱れ具合を観察した。その結果、結晶粒径とC-軸分布が他の層と比較して小さく、鉛直方向に集中しているCloudy-bandの変形は期待されたほどに大きくはなく、成層構造を乱すまでに至らなかった。しかしながら、大変形をさせた場合には層の乱れを引き起こす可能性が十分考えられることが判明した。
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