1997 Fiscal Year Annual Research Report
天然水中の有機物研究のための短寿命天然放射性核種を用いたマルチトレーサー法の開発
Project/Area Number |
09480116
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カサレト ベアトリス (株)水圏科学コンサルタント, 主任研究員
松村 徹 (株)新日本気象海洋環境創造研究所, 研究職
横田 喜一郎 滋賀県琵琶湖研究所, 研究員
山本 政儀 金沢大学, 理学部, 助教授 (10121295)
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Keywords | 天然水 / 有機物 / 短寿命天然放射性核種 / マルチトレーサー法 |
Research Abstract |
海洋生物が生産する海水中の有機物動態の複雑なシステムを定量的に把握するためには、有機物の分解速度、あるいは年齢の測定と有機物の変化に関係する分解あるいは補食の過程を区別する必要がある。そこで短寿命放射性核種であるP-32,S-35,Be-7,Th-234,Pb-210の測定と限外ろ過による有機物の分子量分画、サイズ別のフィルターを用いた有機物の分別を組み合わせることにより、天然水中(海水および湖沼水)の高分子有機物、粒子状有機物、植物および動物プランクトンの間の有機物動態の時間スケールを明らかにするためのマルチトレーサー法の確立を目的とした。 (1)天然水中の短寿命放射性核種であるP-32(半減期λ:14.28日),Th-234(24.1日)およびPb-21(20.4年)を測定するための現場型の吸着ろ過システムを検討し、粒子態有機物を5つのサイズに分離できた。5つのサイズは500μm以上,500〜200,200〜20,20〜1.2,1.2μm以下である。 (2)放射性核種、特にP-32/P-33の測定は金沢大學低レベル放射能測定施設のβ線(Si detectorあるいはピコベータ)測定器によりバックグランドおよび測定試料の形状,妨害条件等については検討を行い、0.03cpmの極低バックグランドを得た。 (3)三陸沖、琵琶湖および駿河湾で,2000lの海水から粒子態有機物を分離し、P-32,Pb-210,Th-234について測定を行った。これらの放射性物質は主に小さい粒子の部分に検出された。 (4)海水中の容存有機物の濃縮は、限外ろ過装置を用いる方法により行った。分子量1000,10000および100000ダルトンの膜を用いて有機物の分離を行った。その結果、海水中には10000から100000ダルトンの高分子有機物が30から45%存在している。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 鈴木,款: "ZINCON指示薬と自動光度滴定装置によるサンゴ礁海水中のカルシウム濃度の精密測定" 地球化学. 31. 163-170 (1997)
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[Publications] 鈴木,款: "二酸化炭素の行方と炭素循環(その1)〜海洋の生物過程と有機物循環の役割〜" 静岡地学. 76. 1-12 (1997)
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[Publications] 鈴木,款: "大気エアロゾル中の^<32>Pの測定法の検討" 静岡大学地球科学研究報告. 24. 79-86 (1997)
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[Publications] 鈴木,款: "レーザー顕微鏡による降水中蛍光粒子の観察" 静岡大学地球科学研究報告. 24. 69-77 (1997)
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[Publications] 山本,正儀: "Daily intakes of ^<124>Cs,^<137>Cs,^<40>K,^<232>Th and ^<238>U in Ukraiun males" Health Phys.73(5). 814-819 (1997)
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[Publications] 山本,正儀: "Environmental radiation dose in Semipalatinsk area near nuclear test site" Health Phys.73(3). 524-527 (1997)
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[Publications] 山本,政儀: "Preliminary results of the present situation of radioactive fallout in soil at Semipalatinsk nuclaer test site" 2nd.Inter.Symp.Proccedings,“Effect of low level radiation for residents near Semipalatinsk nuclear test site. 1997. 201-224
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[Publications] 山本,政儀: "Thermoluminesence dosimetry of gamma-rays from the fallout by the Semipalatinsk nuclear test site" 2nd.Inter Symp Proccedings,“Effect of low level radiation for residents near Semipalatinsk nuclear test site. 195-199 (1997)
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[Publications] 鈴木,款: "海洋生物と炭素循環" 財団法人 東京大学出版会, 193 (1997)