1998 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化環境下における中間温帯林の炭素循環・収支の動態予測
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09480117
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中根 周歩 広島大学, 総合科学部, 教授 (00116633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 彰男 広島大学, 総合科学部, 助手 (00263632)
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Keywords | 温暖化 / 中間温帯林 / 炭素循環 / 植生動態 / 光合成 / 分解 |
Research Abstract |
温暖化環境下における森林生態系の動態予測は、土壌呼吸など分解過程の面と共に、生産力の動態に関する研究も大切である。昨年度に引き続き、温暖化の影響を受けやすいと思われる温度下限(北限)に位置する中国山地のコナラ林を調査地とし土壌炭素循環の調査とともに、光環境と光合成特性の関連性をはじめとする生産力動態予測の調査を実施した。光強度と光合成速度は、林外、林縁、林内いずれも非常に高い相関を示した。光合成有効日射量がもっとも大きい林外では、光飽和点、飽和光合成速度が最も高かったが、その反面呼吸速度も高く、結果、光補償点も高くなっていた。同じ種でも、明るさの違う光環境においてそれぞれ生産を有利に展開できるよう、光合成特性の異なる葉をつけていることが裏付けられた。光量子計で層別に20分毎に測定された日射量及び葉面積から9月〜11月の秋期の純光合成量の試算を行った。その結果、測定期間が9月中旬から10月と秋期であったため、高層部では純光合成量が1.52tC/haと大きくプラスになったものの、下層部では夜の呼吸による消費が大きく、合計がマイナスとなり、全体としては1.35tC/haとなった。下層部の消費が生産を上回っているのは、この時期は、葉がでそろっており下層まで光が届きにくい上に日照時間が短く、太陽高度が低いため、日中に生産が稼げないことが考えられる。 光合成速度や光の入射角度の日変化、季節変化を考慮し通年測定ができれば、年間の総光合成量の概算ができ、非同化部分の呼吸による消費の解析を組み合わせることで、定義式に沿った純生産のシミュレートが可能であろう。
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Research Products
(1 results)