1998 Fiscal Year Annual Research Report
低線量放射線の発癌リスク評価のための遺伝子変異の解析
Project/Area Number |
09480123
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神谷 研二 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60116564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 太貫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80093293)
隅井 雅晴 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (60284220)
宮川 清 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40200133)
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Keywords | マウス肝癌 / SDF-II / 放射線誘発肝癌 / VL30 / 肝癌細胞株 / U3 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
B6C3F1マウス肝癌における遺伝子変異を解析する目的で、mRNAの発現レベルが変化している遺伝子の同定を行った。材料として、B6C3F1マウス肝癌と、この肝癌を培養系に導入して樹立した肝癌細胞株を用い、以下の2つの解析を行った。(1)原発肝癌において、正常肝組織に比べ mRNA の発現レベルが変化している遺伝子の同定をdifferential display法(DD法)で行った。DD法によりmRNAの発現レベルに差のあるバンドを切り出し、この遺伝子断片をプローブとして各肝癌のmRNAの発現をノーザン法で検定し、subcloning を進め最終的に単一の遺伝子断片を得た。これを用いて、マウス精巣の cDNA ライブラリーをスクリーニングして目的の cDNA をクローニングした。その結果、原発肝癌で遺伝子発現が亢進している遺伝子として、ATPase inhibitor、 ribosomal protein L35、 plasminogen activator inhibitor、 apolipoprotein A-IV、及び 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A(HMG-CoA)synthase を同定した。一方、遺伝子発現が減少している遺伝子として、UDP glucuronosyltrans-ferase-2、 4-hydroxyphenylpyruvate dioxygenase、及びphospholipid scramblaseを同定した。(2)軟寒天培地でコロニー形成能を有する肝癌細胞株に強発現するmRNAの同定を、前述の方法で行った。解析の結果、SDF-II遺伝子と相同性を有するSDF-III(仮称)新規遺伝子の同定に成功した。さらに、この遺伝子をプローブとしてマウスSDF-III遺伝子のヒトホモログをクローニングした。この遺伝子はマウス、ヒトともに精巣、卵巣で強発現が見られ、骨髄で中等度、その他の臓器では比較的弱い発現が見られた。SDF-III蛋白の構造から、この蛋白は小胞体内に存在するluminal ER 蛋白で、酵母のprotein mannosyl transferase と相同性を有することから、分泌蛋白に糖鎖を転移する酵素である可能性がある。一方、昨年度軟寒天培地でコロニー形成能を有する肝癌細胞株に強発現する遺伝子としてレトロトランスポゾンVL30を同定したが、本年度はVL30の発現を制御しているU3領域の解析を行った。肝癌細胞株に発現しているVL30のU3領域をクローニングした結果、この細胞株に発現しているVL30は subgroup 1であった。原発肝癌においてもVL30 subgroup 1 のみの発現を認めた。一方、正常肝組織ではVL30 subgroup 3が弱く発現しており、subgroup 1の発現は認められないことより、VL30の発現は癌化に伴いsubgroup 3 からsubgroup 1に変化するものと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyagawa,K.,et al.: "Mutations of the WTl gene in childhood non-lymphoid hemato-logical malignancies." Genes Chromosomes and Cancer. (in press).
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[Publications] Patek,C.E.,et al.: "A zinc finger truncation of murine WTl results in the charac-teristic urogenital abnormalities of Denys-Drash syndrome." Proceedings of the National Academy of Sciences of U.S.A.(in press).
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[Publications] Hiramoto,T.,et al.: "Mutations of a novel human RAD54 homologue,RAD54B,in primary cancer." Oncogene. (in press).
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[Publications] Matsuda,M.,et al.: "Mutations in the RAD54 recombination gene in ptimary cancers." Oncogene. (in press).
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[Publications] Kamiya,K.,et al.: "Quantitative studies of ductal versus alveolar differentiation from rat mammary clonogens." proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine. 219. 217-225 (1998)
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[Publications] Miyagawa,K.,et al.: "Loss of WTl function leads to ectopic nyogenesis in Wilms'tumour." Nature Genetics. 18(1). 15-17 (1998)