1998 Fiscal Year Annual Research Report
レブンアツモリソウの保護のための増殖技術の確立と生態の解明
Project/Area Number |
09480136
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
勝見 允行 国際基督教大学, 大学院理学研究科, 教授 (10052242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清 北海道大学, 農学部, 教授 (50001459)
谷口 弘一 北海道教育大学, 教育実践研究指導センター, 教授 (60002771)
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Keywords | レブンアツモリソウ / アツモリソウ属 / DNA解析 / 種子発芽 / 人工増殖 / 生態分布 |
Research Abstract |
1 未熟種子から得たレブンアツモリソウの幼苗のうち数株が順化され生育中である。 2 1年間〜数カ月間約4Cで保存したレブンアツモリソウ完熟種子は液体培地中で発芽することが分かった。高い発芽率(>70%)が得られるのは、塩素系殺菌液での処理時間がある程度ながいこと、殺菌後4Cで2週間以上低温処理をすること、培養培地中にカイネチンが存在することが条件となる。培養中の明暗や温度はあまり影響しないようである。現在さらに細かく条件を変えて最適発芽条件を決める実験を継続中である。 3 6月上旬レブンアツモリソウの人工受粉を150個体について行い、9月に種子を採取して、礼文島の生育地域内の30個所に播種した。 4 礼文島生育地域内で幼苗株を数えたところ約2600個体あり、そのうち17%が幼苗開花株であった。また、播種後8年で開花した個体を7株発見した。これらはいずれも、風の影響が少なく、湿度が保たれ、土壌が軟質で、日照条件のよい場所にあった。開花までの年数は生育条件が大きく支配するものと考えられる。 5 DNA解析の結果、レブンアツモリソウはCyp.macranthos Sw.var speciosum(いわゆるアツモリソウ)のある系統に属するものと考えられる。また、礼文島にきわめて少数株生育するカラフトアツモリソウ(Cyp.calceolus)は他のCyp.calceolusとは顕著に異なるらしいとがわかった。
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[Publications] 谷口弘一: "北海道の植物続野の花山の花改訂版" 北海道新聞社. 1-378 (1999)
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[Publications] 谷口弘一: "生息域内保全のための希少保護種リストとレブンアツモリソウの開花" 日本植物学会第62回大会研究発表記録. 142 (1998)
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[Publications] 谷口弘一: "レブンアツモリソウの人工受粉種子の開花と北米のアツモリソウの生態" 第64回日本生物教育学会研究発表記録. 40 (1998)
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[Publications] 中村達夫: "アツモリソウ属の系統一形態と塩基配列との比較" 日本植物学会第62回大会研究発表記録. 74 (1998)
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[Publications] 勝見允行: "lkbエンドウ上胚軸の細胞壁の機械的特性とブラシノライドの影響" 日本植物学会第62回大会研究発表記録. 114 (1998)