2000 Fiscal Year Annual Research Report
レブンアツモリソウの保護のための増殖技術の確立と生態の解明
Project/Area Number |
09480136
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Research Institution | Kokugakuin Tochigi Junior College |
Principal Investigator |
谷口 弘一 国学院大学栃木短期大学, 初等教育学科, 教授 (60002771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 浩 奈良先端科学技術大学, 教授 (20178809)
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Keywords | アツモリソウ / カラフトアツモリソウ / 種子培養 / calceolus / 希少植物 / DNA解析 |
Research Abstract |
レブンアツモリソウの保護増殖のため,毎年6月に,約100花の人工受粉を行った。これの受粉率は90%前後である。7月下旬未熟種子の培養を国際基督教大学の勝見教授と奈良先端科学技術大学の佐野教授のところで行っている。1年半〜2年後に幼苗が形成され,それを順化するための実験を行い3月現在佐野教授のもとに,順化するための幼苗50本があるが,これは平成13年10月に順化のための作業を行う。平成12年10月の順化作業は新芽の発芽には成功しなかった。 Cyp,ripediumcal(カラフトアツモリソウ)が1980年に北海道の北海岸沖にある礼文島で発見された。しかし,この植物の起源は議論の的になっている。 礼文島のCyp,calceolusと西ヨーロッパ,中国,極東ロシア(ナホトカ)のCyp,calceolus及び,参考として,日本のC.macranthosと北アメリカの他のアツモリソウ種との間で葉緑体DNAのシークエンシング解析による比較を行った。 最近,東部北海道で発見された,カラフトアツモリソウと思われるCyp.calceolusもこの解析に加えた。解析したこれらのCyp,calceolus標本は,3つのグループに分類された。すなわち,西ヨーロッパ系,中国系及び極東ロシア系と礼文島系である。礼文島のCyp,calceolusは,DNA塩基配列と形態的特徴の点で,その他のものとは,明らかに異なっていた。東部北海道のCyp,calceolusとロシア,ナホトカから採取した1個体も若干の形態的差異が,認められたものの礼文島のものと同じグループに分類された。結論として,礼文島で発見されたCyp,calceolusは西ヨーロッパと,中国に生育するものとは異なる,礼文島の固有種であることが判明した。こらは3株のみ生育しているので早急に希少種として保護すべきである。
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