1997 Fiscal Year Annual Research Report
ピューロマイシンを末端にもつRNAの化学合成と分子進化法への利用
Project/Area Number |
09480139
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉山 弘 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50183843)
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Keywords | ヒューロマイシン / 分子進化法 / 修飾RNA |
Research Abstract |
通常、蛋白はmRNAの情報により合成がリボソーム上で行なわれるが、合成は終止コドンにより終わり、すみやかに合成されたペプチド鎖はリボソームよりリリースされ、その核酸のもつ情報は失われる。ここでもしペプチド鎖とmRNAを共有結合でむすぶことができれば、核酸にアミノ酸コードの情報をもったペプチドとのハイブリッドができる。本研究では有機化学的手法により蛋白合成系において伸長するペプチド鎖末端をmRNAにクロスリンクすることにより、分子内に自身のペプチドの一次配列の情報を持ったペプチドを得ようとするものである。抗生物質ピューロマイシンはリボソームにとりこまれ、アミノ酸を担持したtRNAの結合を阻害し、さらに伸長ペプチドを共有結合でトラップして、C末端にピューロマイシンを持った未成熟のペプチドを産成させることが知られている。そこでピューロマイシンを末端にもつRNAを合成し、それによる伸長ペプチドのクロスリンクを試みる。今年度は次の2点について確立した。 1)ピューロマイシンの合成法の確立 ピューロマイシンの全合成についてはすでに報告がなされているが、収率やステップ数などの点で改良が必要である。また発酵生産物としてピューロマイシンは市販されているが、高価でありまた、デメチル誘導体の合成などはできない。そこでまずスキーム1に従いピューロマイシンの科学的大量合成法を確立した。 2)ピューロマイシンをもつ長鎖DNA及びRNAの合成の確立 次に核酸自動合成用の固相担体を合成した。次にDNA自動合成機を用いて、実際に種々長さリンカーをもち、末端にピューロマイシンを持つDNA及びRNA分子を合成した。さらに、ピューロマイシンを3'末端にもつDNAについては、これらの分子のアンチセンス能力を評価した。
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[Publications] Caceres-Cortes,J.: "Structures of Cobalt(III)-Pepleomycin and Cobalt(III)-Deglycopepleomycin (green forms) and Their Interacion with DNA by NMR Studies." Eur.J.Biothem.244. 818-828 (1997)
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[Publications] Caceres-Cortes,J.: "Interactions of Deglycosylated Cobalt (III)-Pepleomycin (Green Form) with DNA Based on NMR Structural Studies." Biochemisty. 36. 9995-10005 (1997)
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[Publications] Sugciyerma,H: "Preferential C1' Hydrogen Abstraction by a Uracilyl Radical in DNA-RNA Hybrid." Tetrahedron Letters. 38. 8057-8060 (1997)
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[Publications] Zhang,Q.-M.: "Replication of DNA Templates Containing 5-Formyluracil,a Major Oxidative Lesion of Thymine in DNA." Nucleic Acids Res.25. 3969-3973 (1997)