1998 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性シナプス分子機構に関わる高親和性リガンドの分子設計
Project/Area Number |
09480143
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大船 泰史 大阪市立大学, 理学部, 教授 (20142078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 啓子 財, サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (70235638)
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Keywords | グルタミン酸 / 代謝調節型受容体 / トランスポート蛋白 / 代謝調節型アゴニスト / 多重結合型グルタミン酸 / L-スレオ-β-ベンジルオキシアスパラギン酸 / 立体配座要請 |
Research Abstract |
グルタミン酸レセプターとトランスポーターに係わる神経機能研究が活発に取り組まれている。本研究者らはグルタミン酸のコンフォメーション制御分子の開発を出発点として、レセプターやトランスポーター蛋白に対して高い選択性をもつ分子プローブの開発を行っている。前年度はグルタミン酸のα-位の回転によるコンフォマーの制御を目的としたα-置換リガンドやβ-ベンジルオキシアスパラギン酸が合成できた。本年度は、(1)合成リガンドの受容体結合実験やトランスポート阻害活性試験、(2)α-位とβ-位に5員環や6員環を導入したグルタミン酸類縁体の合成と受容体結合実験、(3)代謝調節型レセプターアゴニストの開発、および(4)トランスポート機構に関するβ-ベンジルオキシアスパラギン酸の構造活性相関研究に取り組んだ。(1)と(3)ではグルタミン酸のβ、γ-位に多重結合をもつ類縁体が新たに合成でき、一連の化合物の薬理学試験を行った。そのうちトランス型二重結合体が(3)の研究目的である代謝調節型レセプター(mGluR2)の選択的なアゴニストであることがわかった。既知のmGluR2アゴニストとの構造の比較から、本レセプターの立体配座要請に重要な知見が加えられた。(2)は1-アミノ-2-ヒドロキシシクロペンタン-およびシクロヘキサンカルボン酸から出発して、両エナンチオマーが立体選択的にそれぞれ合成できた。これらの活性は現在検討している。(4)β-ベンジルオキシアスパラギン酸のすべてのエンンチオマーとジアステレオマーとして、4種のスレオ体とエリスロ体がそれぞれ合成できた。ツメガエル卵母細胞上に発現させたトランスポート蛋白(EAAT-1〜3)を用いたトランスポート阻害実験を行った。いずれの化合物も阻害活性を示した。なかでもL-スレオ体がEAAT蛋白に対して最も強い阻害活性を示したことから、阻害活性にはL-スレオの立体配置が重要であることがわかった。
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[Publications] H.Tsujishima: "Photocydoaddition of α,β-Unsafurated-γ-lactam.Synthesis of・・・・" Tetrahedron Letters. 39. 1193-1196 (1998)
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[Publications] Y.Ohfune: "Internal Activation of Acrylate-type Dienophile for Diels-Alder・・・" Tetrahedron. 54. 5207-5224 (1998)
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[Publications] M.Horikawa: "Synthesis of a Potent Enkephalin Analog possessing p-Hydroxy・・・・" Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 8. 2027-2032 (1998)
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[Publications] H.Tsujishima: "Intramolecular[2+2]cycloaddition of Fumaramic Acid Derivatives.・・・" Heterocycles. 49. 73-78 (1998)
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[Publications] K.Shimamoto: "DL-Threo-β-benzyloxy aspartata,A Potent Blocker of excitatory・・" Molecular Pharmacology. 53. 195-201 (1998)