1998 Fiscal Year Annual Research Report
低分子阻害剤を利用したリン脂質加水分解酵素作用機構の解明
Project/Area Number |
09480145
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 関西学院大学, 理学部, 教授 (70047364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 潔 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50001053)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / 第2世代拮抗的阻害剤 / 2置換オキサゾリジノンリン脂酸 / 立体選択的オキサゾリジノン合成 / アミド型阻害剤とCa^<2+>との結合常数 / pH依存性 / アルデヒドテルペノイドの阻害機構 |
Research Abstract |
グリセロリン脂質の2位のエステル結合を位置特異的に加水分解する酵素であるホスホリパーゼA_2(PLA_2)は、プロスタグランジン生合成における律速段階の酵素として知られている。この酵素の加水分解には、ミセル状グリセロリン脂質(基質)を認識する界面認識部位と、His-48を触媒基とする触媒部位の関与が一般に認められている。 私達はすでに、PLA_2の触媒部位に拮抗的に作用し本来の基質と類似の結合様式を示すと推定されるモノ置換オキサゾリジノンリン脂質を、新規なPLA_2阻害剤として開発している。今回、第二世代のオキサゾリジノンPLA_2阻害剤を、これまでの知見を基にしてコンピューターを有効に利用しながらデザインした。新たにデザインしたグリセロリン脂質類縁体は、2置換オキサゾリジノン構造のため4種の異性体が存在する。そこでSharplessの不斉エポキシ化を有効に利用して、立体化学を制御しながら4種の異性体を合成した。合成品について各々日本マムシ毒から単離したII型PLA_2に対する阻害活性を調べた結果、一つの立体異性体が先の第一世代オキサゾリジノン阻害剤より強力な阻害活性を示すことが明らかとなった。このような阻害剤の開発は、PLA_2加水分解機構のより明確な解明のために有効であると思われる。 また、ウシの膵液から単離したPLA_2について、合成した鎖状のアミド型基質アナログと、加水分解に必要なCa_<2+>との結合常数におけるpH依存性を検討し、PLA_2加水分解機構におけるCa_<2+>の役割について検討した。 一方、ミセル状基質認識部位を選択的かつ非可逆的に修飾する阻害剤として、私達は先に(E)-3-メトキシカルポニルトリエナールを開発し、その阻害機構を有機反応レベルで解明している。本年度はこの結果を基として、PLA_2阻害作用を示すアルデヒドテルペノイドに共通した阻害機構として、リジン残基と反応し非可逆的生成物を与えることが本質的に必要であるとの結論を得るに至った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hata,T.;Tanaka,K.;Katsumura,S.: "First Synthesis of (-)-Spongianolide and Determination of Its Absolute Configuration" Tetrahedron Letters. 40. 1731-1734 (1999)
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[Publications] Tanaka,K;Kamatani,M.;Mori,H.;Fujii,S.;Ikeda,K.;Katsumura,S.: "The Inhibitory Mechanism of Bovine Pancreatic Phospholipase A2 by Aldehyde Terpenoids" Tetrahedron. 55. 1657-1686 (1999)
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[Publications] Asano,K.;Hakogi,T.;Iwama,S.;Katsumura,S.: "New Entry for Asymmetric Deoxyazasugar Synthesis:Synthesis of Deoxymannojirimycin,Deoxyaltrojirimycin and Deoxygalactostatin" Chemical Communication. 41-42 (1999)
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[Publications] Iwama,S.;Segawa,M.;Fujii,S.;Ikeda,K.;Katsumura,S.: "Design and Synthesis of New Secretory Phospholipase A_2 Inhibitor of a Phospholipid Analog" Bioorg.Medic.Chem.Lett.8. 3495-3498 (1998)
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[Publications] Fujii,S.;Tani,T.:Inoue,S.;Iwama,S.;Katsumura,S.;Ikeda,K.: "pH Dependence of the Reaction Rate of p-Bromophenacyl Bromide and of the Binding Constant of Ca^<2+> and an Amide-Type Substrate Analog to Bovine Panacreatic Phospholopase A_2," Arch.Biochem.Biophys.354. 73-82 (1998)