1998 Fiscal Year Annual Research Report
嗅細胞及びフェロモン受容細胞における単一細胞レベルでの分子識別と情報変換
Project/Area Number |
09480169
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00016114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 隆行 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (40157269)
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Keywords | サイクリックGMP / サイクリックAMP / フェロモン受容細胞 / 尿 / ラット / イノシトールトリスリン酸 / 二次メッセンジャー / 性成熟 |
Research Abstract |
サイクリックGMP(cGMP)が、嗅細胞において、二次メッセンジャーとして働いているかどうかが注目されている。そこで、われわれは、カメの嗅細胞を用いてcGMPの効果を調べた。嗅細胞にcGMPを注入すると、内向き電流が生じた。内向き電流が脱感作により消失した後、膜透過性のサイクリックAMPを与えたところ、応答は発現しなかった。この結果は、cGMPはcAMPチャネルを介して応答を発現することを示唆した。すなわち、嗅細胞においては、cAMPが二次メッセンジャーであり、cGMPを介する固有の情報伝達経路はないと結論した。 ラットの尿中には、さまざまな種類のフェロモンが含まれている。たとえば、オスの尿中にはメスの性的な成熟を促進するフェロモン、メスの尿中にはメスの性的な成熟を抑制するフェロモンが含まれている。われわれは、メスラットのフェロモン受容細胞に各種の尿を与え、電気的な応答を記録した。この結果、単一フエ口モン受容細胞は、一種類の尿にしか応答しないことがわかった。すなわち、ある細胞はオスの尿のみに、別の細胞はメスの尿のみにしか応答しなかった。一方、単一の嗅細胞は多数の匂いに応答した。このように、フェロモン受容細胞と嗅細胞は、応答特異性に大きな差があることがわかった。 ラットのオスの尿を用いて、フェロモンの同定を試みた。この結果、フェロモン活性成分は、分子量5000以下のペプチドであることがわかった。 ラットのフェロモン受容細胞に尿を与えると、イノシトールトリスリン酸(IP3)のレベルが増大した。また、IP3チャネルの阻害剤やIP3産生の阻害剤は、フェロモン受容細胞の尿に対する応答を阻害した。これらの結果は、ラットのフェロモン受容には、IP3が二次メッセンジャーとして働いていることを示唆した。
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[Publications] K.Inamura: "Effects of cGMP and sodium vitroprusside on odor responses in turtle olfactory sensory neurons" American Journal of Physiology. 275. c1201-c1206 (1998)
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[Publications] K.Inamura: "Laninar distribution of pheromone receptive neurons in rat vomeronasal epithelium" Journal of Physiology. (in press). (1999)
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[Publications] K.Inamura: "Regionalization of Fos immunostaining in rat accesory olfactory bull when the vomeronasal organ was exposed to urted" European Journal of Neuroscience. (in press). (1999)