1998 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物mRNAで見い出された翻訳エンハンサーの作用メカニズム
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09480182
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (50185667)
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Keywords | 高等植物 / 翻訳エンハンサー / mRNA / 5'非翻訳領域 / psaDb / 翻訳効率 |
Research Abstract |
「翻訳エンハンサー配列」とは、細胞中でmRNAの転写や安定性には影響を与えず、mRNAの翻訳効率のみを促進させる塩基配列である。著者らはそのような機能を持つ配列を形質転換タバコの系で2種類見い出しており、その作用機構について解析を進めている。本年は、そのひとつである光化学系I核遺伝子PsaDbの5′非翻訳領域の機能を中心に、主にパーティクルガンを用いたトランジェント発現系によって解析を進めたところ、次の点が明らかになった。 (1) 翻訳開始コドン周辺の塩基配列:psaDb遺伝子はUUCU(AUG)GCC(AUG)GCという二重の翻訳開始AUGコドンもっている。この重複したAUGのうち最初のものを塩基置換によって破壊しても遺伝子発現レベルに変化はみられなかったが、二番目のAUGの場合は発現レベルが大きく低下した。この2番目のAUGは所謂Kozak配列(A/G)XXATGGに合致している。従って、Kozakルールに比べ、AUGの重複自体は高発現にとって重要な意味をもっていないと考えられる。 (2) psaDbリーダー配列の機能:植物でレポーターとしてよく用いられているGUS遺伝子の翻訳開始コドンはCUU(AUG)Uという配列であり、Kozakルールから大きく外れている。この遺伝子の5′非翻訳領域中にpsaDbのリーダー配列23塩基を挿入すると、遺伝子の発現効率が十数倍促進された。挿入されたpsaDbリーダーの長さや配列に種々の変異を導入して検討したところ、この促進効果はpsaDb配列に特異的であることが示された。
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