1997 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン系細胞骨格を介したシグナル伝達とアポトーシス:ERM蛋白質の役割
Project/Area Number |
09480193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
月田 早智子 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00188517)
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Keywords | エズリン / ラディキシン / モエシン / ERM / Rho / Rhoキナーゼ / リン酸化 / アクチン |
Research Abstract |
本年度は、ERM蛋白質の活性をRhoがどのように制御するかについて、詳細な解析を行った。Rhoの直接のターゲット分子として、最近いくつかのセリン・スレオニンキナーゼが同定され、その中でもRhoキナーゼと呼ばれる酵素の重要性が明らかになってきた。我々は、このRhoキナーゼによってERM蛋白質が直接リン酸化されるか、また、もしリン酸化されるとするとERMの活性がどのように制御されるかを検討した。そのためにまず、ラディキシンの全長(F-rad)とC末半分(C-rad)をバキュロウイルスベクターを用いてSf9細胞で作り、精製した。さらにRhoキナーゼの構成的活性型(RhoKc)をやはりバキュロウイルスベクターを用いてSf9細胞で作り、精製した。F-radまたはC-radをRhoKcとインキュベートしたところ、すべてのC-rad分子がリン酸化された。さらにC末端よりのスレオニンがリン酸化されていることも明らかになった。そこでこのスレオニン残基のリン酸化が細胞内で起きているかを調べるために、この残基がリン酸化されたERMのみを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製した。血清を除去した培養液中のSwiss3T3細胞をLPA刺激することによりRhoを活性化させ、このモノクローナル抗体でイムノブロットすると、確かに細胞内でもERMのC末端のスレオニン残基がRho依存性にリン酸化されていることが明らかになった。このスレオニン残基のあたりの配列は、ERMのアクチン結合能、および、N末端との結合によるERM活性の不活化、という2つの機能を担っている部分であることが知られていたので、リン酸化のこれら2つの機能に対する影響を次に調べた。その結果、C末端のスレオニン残基のリン酸化は、ERMのアクチン結合能には影響しないが、不活化を抑制してERMを活性化状態に維持することが分かった。
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[Publications] Sachiko TSUKITA: "ERM proteins : Head-to-tail regulation of actin/plasma membrane regulations." Trends in Biological Science. 22. 53-58 (1997)
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[Publications] Sachiko TSUKITA: "ERM (Ezrin/Radixin/Moesin) family : From cytoskeleton to signal transduction" Current Opinion in Cell Biology. 9. 70-75 (1997)
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[Publications] Takahisa KONDO: "ERM (Ezrin/Radixin/Moesin)-based molecular mechanism of microvillar breakdown at an early stage of apoptosis." Journal of Cell Biology. 139. 758-767 (1997)
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[Publications] Takeshi MATSUI: "Rho-kinase phosphorylates carboxy-terminal threonines of ERM proteins and regulates their head-to-tail association." Journal of Cell Biology. (1998)
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[Publications] Yoshinori DOI: "Moesin is not a receptor for measles virus entry into mouse embryonic stem cells." Journal of Virology. (1998)
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[Publications] Shigenobu Yonemura: "ERM proteins binds to a specific group of intergral membrane proteins containing a positively-charged amino acid cluster in their juxta-membrane cytoplasmic domain." Journal of Cell Biology. (1998)