1998 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質の位置情報に基づく細胞骨格の制御:リン脂質配向性制御因子の同定と神経軸索形成における役割
Project/Area Number |
09480201
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
梅田 真郷 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (10185069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 研一 東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (70270684)
伊藤 康一 東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (30291149)
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Keywords | リン脂質 / 細胞骨格 / 脂質二重層 / 細胞膜 / ニューロン / マクチン / 変異体 / ホスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
本年度、PE合成に異常を来したCHO-Kl変異細胞株R-41を用いて、細胞分裂におけるPE動態の役割について検証を進めた。動物細胞におけるPEは、主に小胞体膜上でCDPエタノールアミンとジアシルグリセロールから合成されるCDPエタノールアミン経路と小胞体で合成されたホスファチジルセリン(PS)がミトコンドリアに輸送され、ミトコンドリア内膜に存在するPS脱炭酸酵素によりPEに変換されるPS脱炭酸経路により合成される。R-41細胞株はPE結合性ペプチドへの耐性株として昨年度樹立された細胞であり、PSのミトコンドリア内膜への輸送に異常を有するためにPS脱炭酸経路からのPE合成が低下したユニークな細胞株であることが明らかとなった。この細胞の分裂像を経時的に観察すると、インキュベーションを始めて一時間以内にほとんどの細胞が分裂溝を形成するが、その後24時間まで観察を続けても細胞質分裂が完了しないまま分裂を停止することが明らかとなった。この時、緻小管や核膜の分配および再構成は完全に終了して典型的なGl期の形態をとっていたが、アクチン線維は分裂溝に重合したままで残存していた。R-41細胞においては、親株で見られるような分裂溝における有意なPE分子のスクランプリングが観察されないことから、PE分子の分裂溝における脂質こ分子膜内外での非対称分布の変化が細胞分裂の最終段階におけるアクチン線維の脱重合の制御に関わることが確認された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山路顕子ら: "Lysonin,anovel sphingomyelin-specific bury protcin" J.Biol.Chem.273. 5300-5306 (1998)
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[Publications] 内田佳予子ら: "Iuduction of apoptosis by phosphatidylserine" J.Biochem. 123. 1073-1078 (1998)
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[Publications] 榎本和生ら: "細胞膜脂質の非対称分布とその生理的意義" 蛋白質核酸酵素. 43. 1973-1980 (1998)
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[Publications] 榎本和生ら: "細胞膜の構造と機能" 丸善出版, 18 (1998)