1998 Fiscal Year Annual Research Report
軸索内細胞骨格蛋白の動態制御と成長,加齢及び再生における変化
Project/Area Number |
09480218
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小宮 義障 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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Keywords | 軸索 / 細胞骨格蛋白 / 微小管 / ニューロフィラメント / 脊髄後根神経節細胞 / 成長 / 加齢 / 神経再生 |
Research Abstract |
神経細胞の軸索突起には微小管を始めとする細胞骨格蛋白が豊富にあり、その形態と機能の維持に重要な役割をはたしている。軸索内の微小管は種々の脱重合操作に抵抗性を示す安定重合型の割合が多い特徴を有している。 しかし軸索が傷害を受けた場合などにはこれら安定型微小管も直ちに対応した変化を示し、修復のために利用できるダイナミック型に変換される。この変換の分子機構を理解するために、ラット脊髄後根神経節細胞の初代培養系を用い、軸索形成過程における安定化機構、及び傷害を与えた際の脱安定化機構を、微分干渉顕微鏡にビデオ画像増強装置を組み合わせることにより直接観察し、以下のような結果を得た。 1. 神経突起の細胞膜をこわして微小管を露出すると、大部分の微小管は脱重合してしまうが、少数の微小管は30分以上経過しても脱重合しない。培養開始1週間後ではこれらの安定型微小管は全体の10%以下である。 2. 安定重合型微小管をレーザービームを用いて切断すると、そのとたんに両断端から脱重合を開始する。これから安定型微小管はその全長にわたって安定化されているわけではないことが分かる。 3. 微小管が突起の分岐部分などで弓状に湾曲している場合に、この部分を切断すると、ちょうど弓の弦を切った時のように両断端が直線状にはじける反応が見られる。すなわち微小管には何らかの曲げる力が加わっていると考えられる。 4. 安定型微小管が切断されて脱重合を開始した場合に、ある特定の部分で、脱重合が一定時間停止することが観察される。この時停止部分には顆粒状の構造物が付着していることが多いが、何もないところで停止する場合もある、この部分で微小管の安定化がおこっているものと考え、その安定化機構の解析を進めている。
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[Publications] Ohbayashi,K.,Fukura,H.Inoue,M.K.Komiya,Y and Igarashi,M.: "Stimulation of L-type Ca^<2+>channel in growth cones activates tiso independent signaling pathways." Journal of Neuroscience Research. 51. 682-696 (1998)
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[Publications] Yamamoto,Y.,Yasuda,Y.,Kimura,Y.and Komiya,Y.: "Effects of cilostazol,an antiplatelet agent,on axonal regeneration following nerve injury in diabetic rats." European Journal of Pharmacology. 352. 171-178 (1998)
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[Publications] Kurachi,M.,Kikumoto,M.,Tashiro,H.,Komiya,Y.and Tashiro,T.: "Real-time observation of the Disassembly of stable neuritic microtubules induced by Laser transection:Possible mechanisms of microtubule stabilization in neurctes" Cell Motility and the Cytoskeleton. 42. 87-100 (1999)
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[Publications] 第12回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会: "神経難病への挑戦 神経細胞を死から守るため" クバプロ(東京), 163 (1998)