1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09480230
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 博之 九州大学, 理学部, 教授 (20124224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 令子 九州大学, 医療技術短期大学部, 講師 (00239302)
伊藤 功 九州大学, 理学部, 助教授 (20183741)
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Keywords | 脳 / 神経細胞 / 遺伝子発現 / 電気生理学 / 分子生物学 / PCR法 / mRNA / 神経可塑性 |
Research Abstract |
本研究の目標は、高等動物神経細胞の電気生理学的な活動が、細胞の遺伝子発現等の代謝的な機能をどのように調節しているか、ということを解析することにある。このためには、電気生理学的な活動と代謝的な活動を、同一の細胞で測定する必要がある。この目的のために、細胞の代謝的な活性(ここでは遺伝子発現の活性を見る目的で細胞内mRNAを測定することを検討した)を、出来うる限り単一細胞のレベルで測定することを目指した。 本年度はまず、ある程度素性の知れた単一細胞から逆転写PCR法によってmRNAを出来るだけ確実に採取、検出する方法を確立することを目指した。まず最も単純なモデル系として株細胞培養系(胚性ガン細胞)を用い、レチノイン酸処理によって神経細胞様に分化を誘導する前と後の状態の細胞で比較した。ホールセル・パッチクランプ法により電気生理学的な特性を比較解析した単一細胞について、細胞内容物を回収し、ニューロフィラメントLのmRNAを検出することを試みた。 mRNAをより確実に回収し、より高い感度で検出するための諸条件を検討し、これまでに以下のような結果を得ている。 1:回収用のピペットは、サイズ、形状等の点からパッチ・ピペットとは区別し、2種類のピペットを使い分けるのがよいと考えられる。 2:回収操作のばらつきを補正するために、内部標準を用いるのが好ましい(本研究ではアクチンを例として用いた)。 3:逆転写反応やPCR反応の条件等について、より高い感度を得るためにはいろいろなポイントがあるが、それらの幾つか(溶液組成、反応温度等)が明らかになってきた。 これらの試みをさらに確実なものとし、モデル細胞である程度見通しをつけたら、より生理的に意味のある細胞系にそれらの方法を適用する方向に進む計画である。
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[Publications] Yamashita,S.: "The Ga protein GL2a improves the ability to detect the subthreshold expressions of receptors linked to phospholipase C in Xenopus oocytes." Jpn.J.Physiol.47. 67-72 (1997)
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[Publications] Ito,I.: "Synapse-selective impairment of NMDA receptor functions in mice lacking NMDA receptor e1 or e2 subunit." J.Physiol.(Lond.). 500. 401-408 (1997)
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[Publications] Minakami,R.: "Phosphorylation and calmodulin binding of the metabotropic glutamate receptor subtype 5(mGluR5)are antagonistic in vitro." J.Biol.Chem.272. 20291-20298 (1997)
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[Publications] Ito,I.: "Distribution and development of NMDA receptor activities at hippocampal synapses examined using mice lacking the el subuint gene." Neurosci.Res.(in press). (1998)
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[Publications] 水上令子: "メタボトロピック受容体" 蛋白質核酸酵素. 42. 295-301 (1997)
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[Publications] 水上令子: "メタボトロピックグルタミン酸受容体" 生体の科学. 48. 371-375 (1997)