1997 Fiscal Year Annual Research Report
網膜リボン型シナプスにおける伝達物質の放出制御機構
Project/Area Number |
09480238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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Keywords | シナプス / シナプス小胞 / グルタミン酸 / グルタミン酸受容体 / プロテインキナーゼC / 興奮性シナプス後電位 / カルシウム電流 / 網膜 |
Research Abstract |
キンギョ網膜から単離したオン型双極細胞を使って、伝達物質(グルタミン酸)の放出制御機構を検討した。伝達物質の放出は、アメリカナマズ網膜から単離・培養した水平細胞のグルタミン酸受容体を用いたバイオアッセイ法と、開口放出に伴う微小膜容量測定法を併用した。その結果、シナプス前終末に存在するCaチャネルが活性化されると、伝達物質放出部位ではCaイオン濃度が100μM以上に上昇し、即時放出可能なシナプス小胞群が1ミリ秒以内に膜に融合して伝達物質が放出されること、また、伝達物質放出部位よりやや離れた部位でCaイオン濃度が10μM以上に上昇すると放出可能なシナプス小胞群が動員されて遅延性の伝達物質放出を起こすことが明らかになった。また、双極細胞に存在するprotein kinase Cをフォルボールエステル類で活性化させると、放出可能なシナプス小胞の数が増加することを示唆する結果が得られた。 イモリ網膜からスライス標本を作製し、双極細胞と神経節細胞をそれぞれ同時にパッチ電極を使って膜電位固定した。双極細胞に脱分極パルスを与えると、双極細胞からCa電流が記録され、シナプス結合をしている神経節細胞からは興奮性シナプス後電位が発生した。薬理学的実験から、この興奮性シナプス後電位は非NMDA受容体とNMDA受容体の活性化によって生じていることが明らかになった。しかし、神経節細胞から記録される自発性シナプス後電位は、非NMDA受容体の活性化のみによるものであった。したがって、双極細胞の伝達物質放出部位の直下にある神経節細胞の樹状突起には非NMDA受容体が局在し、この部位よりやや離れた所にNMDA受容体が分布していることが示唆された。
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[Publications] Sakaba,T., et al.: "Ca^<2+>-activated K^+ current at presynaptic tenminals of goldfish retinal bipolar cells" Neuroscience Research. 27. 219-228 (1997)
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[Publications] Sakaba,T., et al.: "Two components of transmitter release in retinal bipolar cells:exocytosis and mobilization of synaptic vesicles" Neuroscience Research. 27. 357-370 (1997)