1997 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス伝達の長期増強における代謝型グルタミン酸受容体の役割
Project/Area Number |
09480239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70251212)
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Keywords | 海馬 / 長期増強 / グルタミン酸受容体 / シナプス伝達 / 電気生理学 / カルシウム |
Research Abstract |
1.海馬CA1領域において、シャッファー側枝を電気刺激し、放線状層にて興奮性シナプス電位を細胞外記録した。興奮性シナプス伝達の長期増強にどのタイプのグルタミン酸受容体が関与するかを同定するため、まず、NMDAの細胞外投与の効果を検討した。NMDAの短時間投与では、シナプス電位の短期増強が観測されたが、LTPを誘導することはできなかった。一方、グルタミン酸短時間投与では、LTPが誘導でき、NMDA受容体以外のグルタミン酸受容体の関与が示唆された。2.代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)がLTPに関与する可能性を検討するため、mGluRのアゴニストであるACPDのシナプス伝達に対する効果を観察した。ACPDの灌流投与では、短期抑圧が誘導されるのみで、LTPは誘導できなかった。CA1錐体細胞からのホールセル記録でも同様の結果を得たが、ACPD投与とともに、細胞に繰り返し脱分極パルスを与えカルシウムチャネルを活性化させるとLTPが誘導された。したがって、細胞内カルシウム濃度上昇とmGluRの活性化が同時に起こったときのみ、LTPが誘導される可能性が示唆された。3.グリア細胞に特異的に発現するグルタミン酸トランスポーターGLT-1を欠損したマウスでは、癲癇発作や脳損傷の憎悪が見られ、また、海馬のシナプス間隙でのグルタミン酸濃度上昇が野生型よりも大きいことを明らかにした。4.海馬および大脳より調製したシナプス後肥厚分画において、AMPA受容体がCaMKIIによりカルシウム・カルモデュリン依存性にリン酸化されることを明かにした。5.アフリカツメガエル卵母細胞タンパク発現系および海馬の錐体細胞において、ノシセプチン受容体が内向き整流性カリウムチャネルとカップルし、受容体の活性化によりチャネルが開口することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ikeda,K.: "Functional coupling of the nociceptin/orphanin FQ receptor with the G-protein-activated K^+(GIRK)channel" Mol.Brain Res.45. 117-126 (1997)
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[Publications] Hayashi,Y.: "Calcium-and calmodulin-dependent phosphorylation of AMPA type glutamate receptor subunits by endogenous protein kinases in the post-synaptic density" Mol.Brain Res.46. 338-342 (1997)
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[Publications] Tanaka,K.: "Epilepsy and exacerbation of brain injury in mice lacking the glutamate transporter GLT-1" Science. 276. 1699-1702 (1997)
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[Publications] Manabe,T.: "Two forms of hippocampal long-term depression,the counterpart of long-term potentiation" Rev.Neurosci.(in press). (1998)
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[Publications] Watanabe,M.: "Selective scarcity of NMDA receptor channel subunits in the stratum lucidum(mossy fiber-recipient layer)of the mouse hippocampal CA3 subfield" Eur.J.Neurosci.(in press). (1998)