1999 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス伝達の長期増強における代謝型グルタミン酸受容体の役割
Project/Area Number |
09480239
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 神戸大学, 医学部, 教授 (70251212)
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Keywords | シナプス伝達 / グルタミン酸受容体 / 長期増強 / 海馬 / 電気生理学 / 分子生物学 / 可塑性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1.代謝型グルタミン酸受容体mGluR2がその誘導に関与する海馬CA3領域のシナプス伝達可塑性にカルシウム依存症のタンパクリン酸化酵素が関与することを明らかにした。CA3領域での長期抑圧の誘導にはシナプス前終末のmGluRの活性化が必要であるが、それだけでは十分ではなく、シナプス前終末へのカルシウムイオン流入とそれに引き続く生化学過程の調節が必要であることを発表した。2.海馬CA1領域での長期増強の誘導・発現には血小板活性化因子(PAF)は必要ないことを、PAF受容体を欠損するノックアウトマウスを用いて明らかにした。3.シナプス前終末に存在し、神経伝達物質放出に関与するとされるDoc2αの機能解析をするため、この分子を欠損するノックアウトマウスを用いて電気生理学的解析を行った。通常のシナプス伝達には異常は見られなかったが、5Hz刺激による増強が変異型でより大きくなることがわかった。さらに、長期増強は野生型に比べて有意に減弱していた。したがって、Doc2αは活動依存的にシナプス伝達を調節していると結論された。4.細胞内シグナル伝達で重要な役割を果たすH-Rasが、中枢神経系ではチロシンリン酸化を介してNMDA受容体の活性調節を司っていることが明らかとなった。H-Rasが欠損したマウスでは、NMDA受容体のチロシンリン酸化が亢進すると共に、NMDAシナプス応答が増大していた。それに伴って、CA1領域での長期増強も増大していた。5.海馬シナプスの活性部位周囲に存在する細胞接着分子であるカドヘリン11が、シナプス伝達効率の可変域を調節していることが明らかとなった。カドヘリン11が欠損すると、長期増強が増大し、その飽和レベルも上昇することがわかった。また、カドヘリン11が欠損したマウスでは、情動に異常が現れることも明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kobayashi,K.: "Platelet-activating factor receptor is not required for long-term potentiation in the hippocampal CA1 region"Eur.J.Neurosci.. 11. 1313-1316 (1999)
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[Publications] Kobayashi,K.: "Calcium-dependent mechanisms involved in presynaptic LTD at the hippocampal mossy fiber-CA3 synapse"Eur.J.Neurosci.. 11. 1633-1638 (1999)
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[Publications] Sakaguchi,G.: "Doc2α is an activity-dependent modulator of excitatory synaptic transmission"Eur.J.Neurosci.. 11. 4262-4268 (1999)
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[Publications] Manabe,T.: "Regulation of long-term potentiation by H-Ras through NMDA receptor phoshorylation"J.Neurosci.. (in press). (2000)
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[Publications] Manabe,T.: "Loss of cadherin-11 adhesion receptor enhances plastic changes in hippocampal synapses and modifies behavioral responses"Molocular and Cellular Neuroscience. (in press). (2000)