1998 Fiscal Year Annual Research Report
日常行動下における自律神経系による循環調節機序の解析に関する研究
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09480252
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山越 憲一 金沢大学, 工学部, 教授 (40014310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川原 実 日本電気(株), 医療機器(事), 開発課長
田中 志信 金沢大学, 工学部, 助教授 (40242218)
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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Keywords | 血圧計測 / 心拍出量計測 / 容積補償法 / アドミタンス法 / 電極 / 自律神経 / 日常行動 / 循環調節 |
Research Abstract |
1. 日常行動下に於ける装置評価と改良:日常行動下に於けるヒトを対象として、無浸襲的に一心拍毎の血圧と心拍出量計測が可能な、携帯型モニタリングシステムの試作を行った。従来の個々の計測装置と比較し、血圧計測に於いては外光の影響を軽減する回路の導入、カフ容積の削減及び電空変換器の周波数特性の向上を、心拍出量計測に於いてはアーチファクト対策の為にデジタルフィルタ技術による基線安定化を盛り込んだ。更に、携帯ユニットは心臓位置に装着可能な様に、胸ポケットに入る程度までの小型化(72×36×126mm、電池を含む総重量480g)を実現した。試作システムの評価実験を通して、日常行動下に於ける各循環動態パラメータの変動が良く捕らえられており、従来の知見との一致も多数認められた事、激しい運動を伴わない自由行動下計測でのアーチファクト混入率は3%以下であった事、携帯用電池にて連続約200分間の計測が可能であった事等が明らかとなった。また、問題点としては、血圧計測用ポンプと電空変換器の発生する音響雑音、指動脈に於ける血圧計測での鬱血、心拍出量計測のテープ電極の装着違和感等が挙げられる。一方、心拍出量計測に於ける通電電極の形状と配置の検討を、64chインビーダンス計による電流分布計測を通して実施した。その結果、座位に於いては、テープ電極のスポット電極への置き換えが可能となった。次年度は、各種の姿勢に於ける電極置換の可能性を追求する。(中川原、山越、田中(志))。 2. 日常行動下健常人に於ける実験とデータ解析:日常行動下に於ける健常人を対象とした計測実験データを基に、起立性圧反射に於ける自律神経系の循環調節機序の解析を試みた。結果、血圧と心拍間隔との間には1〜2心拍の遅延が、血圧と末梢循環抵抗との間には10秒程度の遅延が殆どの被験者に於いて認められた。睡眠時の実験は、上述の音響雑音が理由で、実行不可であった。更に、各種行動下に於ける自律神経活動の評価を試みた。時間領域の解析では、Bertinieriら(Amer J Physiol,254,1988)の提唱する圧受容体一心臓反射感度の推定、周波数領域での解析では、心拍間隔の揺らぎのパワースペクトル密度及び血圧対心拍間隔・血圧対末梢循環抵抗の伝達関数の解析を行った。各種の行動負荷との対応では、階段昇降や自転車走行等のある程度の高負荷を除き、全ての解析結果は従来の知見との一致が認められた。また、伝達関数のコヒーレンス値が圧受容体反射に対する上位中枢の修飾の程度と対応している事が示唆された。次年度は、これらの評価対象を各種疾患を有する人へと拡大する。(山越、小林、中川原、田中(志))。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山越 憲一: "Recent Advances in Non-invasive and Ambulatory Monitoring of Cardiovascular Haemodynamic Parameters" Biocybernetics and Biomedical Engineering. 17・3-4. 181-202 (1997)
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[Publications] 田中 志信: "循環動態の在宅下24時間モニタと日内変動解析-血圧計測部位と日内変動パターンについて-" 医用電子と生体工学. 36. 460-460 (1998)
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[Publications] 中川原 実: "容積補償法及びアドミタンス法による携帯型循環動態連続計測システム" 医用電子と生体工学. 36. 459-459 (1998)
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[Publications] 田中 志信: "循環機能の24時間無拘束計測と周期構造解析" 信学技報. 98・95. 1-7 (1998)
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[Publications] 中川原 実: "循環動態の無侵襲・無拘束-心拍毎連続モニタリングと解析" 第13回 生体・生理工学シンポジウム. 279-282 (1998)
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[Publications] 川崎 潤一: "インビーダンス及びアドミタンス心拍出量計測における胸郭体表面電流分布の計測電極配置の検討" 日本臨床モニタ学会総会. (1999)