1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子配列制御表面と遺伝子発現解析法を用いた細胞の材料認識機構解明の基礎研究
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09480255
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
芹澤 武 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (30284904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 晶夫 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60224929)
明石 満 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20145460)
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Keywords | 遺伝子発現 / RT-PCR / mRNA / 脂質膜 / 転写因子 / NF-κB / 生体適合性 |
Research Abstract |
1.脂質膜上での細胞の遺伝子発現をRT-PCR法により評価した。脂質膜の作成上の問題から、各種の脂質を混合した膜の作成およびその上での細胞の遺伝子発現評価を断念し、これまでに得られた結果の再確認を行い、広く一般に応用可能な実験方法のための最適化を行った。 2.脂質膜に対する細胞の反応は、これまでに報告されている材料に対するものとは異なり、表面自由エネルギ一および電荷などでは説明が不可能なものであった。また、経時変化についても脂質膜への反応は従来の材料に対するものよりも早期に惹起されていることが示唆された。 3.上記の結果から、一連の脂質を用いた研究と、細胞の初期の反応性を評価するためのマーカー分子の探索の結果から総合的に判断すると、PCRによる遺伝子発現解析よりも、より早期に発現する細胞内分子の評価が脂質膜の評価に有用てあるとの結論に至った。対象となる細胞内分子はシグナル伝達系および転写因子である。ここでは、これまでに検討した遺伝子発現と関連していると思われる転写因子活性について検討を行った。 4.転写因子として、本研究で対象としたmRNA発現に関連していると思われるNF-κBに着目した。材料評価のためのNF-κBの実験系は鹿児島大学医学部臨床検査医学講座の協力を得て、独自に作成した。RT-PCR法とならぶ新しい材料評価法としての普及を期待している。 5.脂質膜と2,3の親水性医用材料について転写因子活性を評価した。脂質膜上では15分以内に転写因子活性が高まり、その後平常値に戻ることが分かった。親水性材料については24時問後に活性が高まっており、慢性的な生体反応を引き起こしていることが示唆された。この結果から、RT-PCR法で観察された脂質膜の生体活性は、非常に早い時期で細胞に認識されることによって引き起こされており、これが従来の材料との差を生じる原因になっていると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] AKIO KISHIDA: "Heat shock protein 70B mRNA Expression in L929 cells Attached on Lipid Films"Chemistry Letters. 1267-1268 (1999)
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[Publications] SHINYA KATO: "Evaluation of biological responses to pelymeric biomaterials by RT-PCR anallysis IV:study of c-myc,c-fos and p53 mRNA expression"Biomaterials. 21. 521-527 (2000)