1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい遺伝子ベクター用材料としてのブロック共重合体ミセルの構造設計
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09480258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 丈 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30100085)
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Keywords | 遺伝子ベクター / ブロック共重合体 / 高分子ミセル / DNA / ポリイオンコンプレックス / ポリエチレングリコール / ポリアミノ酸 / ヌクレアーゼ |
Research Abstract |
本年度は、昨年度において遺伝子発現能が確認された遺伝子内包高分子ミセルについて、まず、遺伝発現能とミセルのサイズならびに内包遺伝子数との対応を明らかにするとともに、他の一般的な遺伝子導入用ベクターとの性能比較を行った。ミセルのサイズについては、動的光散乱に基づく拡散係数の測定から流体力学半径を算出するとともに、静的光散乱測定を行うことによって、ミセルを構成する分子数(会合数)の評価を行った。プラスミドに対するブロック共重合体の比率を高めるに従い、動的光散乱で測定したミセルの粒径は減少していくが、r=2.0付近で頭打ちとなり、約90nmという直径を示した。一方静的光散乱を用いて、このr=2.0でのミセル中に内包されるプラスミドの数を算出すると、およそ、1個のプラスミドがミセルの中に存在することが明らかとなった。すなわち、この系はあたかもウイルスのように、1分子の凝縮した分子形態を取る(凝縮状態にあることは、別途、蛍光の消光から確認している。)プラスミドを核にその周りを数百分子のブロック共重合体が覆うというコアーシェル構造を有している。興味深いことに、このような状態のミセルにおいて、最も高い遺伝子の発現活性が達成された。また、発現活性は、ブロック共重合体を構成するポリカチオン鎖の長い程上昇し、核酸分解酵素耐性と良い相関を示している。比較用ベクターとしては、ポリリシン(重合度:258)ならびに現在、最も広く用いられいる非ウイルス性ベクターであるリポフェクチンを使用した。ミセル型ベクターは、ポリリシン単独重合体、ならびにリポフェクチンと比較して、無血清状態では、293細胞に対して著しく高い発現活性を達成することが可能であった。血清の添加は、発現効率の低下をもたらすが、それでも10%血清下、発現活性はポリリシンよりも高く、リポフェクチンとはほぼ、同等の値を示していた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K. Kataoka, A. Harada, D. Wakebayashi, Y. Nagasaki: "Polyion Complex Micelles with Reactive Aldehyde Groups on Their Surface from Plasmid DNA and End-Functionalized Charaged Block Copolymers"Macromolecules. 32(20). 6892-6894 (1999)
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[Publications] A. Harada, K. Kataoka: "On-off control of enzymatic activity synchoronizing with reversible formation of supramolecular assembly from enzyme and charged block copolymers"J. Amer. Chem. Soc.. 121(39). 9241-9242 (1999)
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[Publications] Y. Yamamoto, Y. Nagasaki, M. Kato, K, Kataoka: "Surface charge modulation of poly(ethylene glycol)-poly(D,L-lactide) block copolymer micelles : Conjugation of charged peptides"Clloids and Surfaces B : Biointerfaces. 16(1-4). 135-146 (1999)
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[Publications] K. Yasugi, T. Nakamura, Y. Nagasaki, M. Kato, K. Kataoka: "Sugar-installed Polymer Micelles : Synthesis and Micellization of Poly(ethylene glycol)-Poly(D,L-lactide) Block Copolymers Having Sugar Groups at PEG Chain End"Macromolecules. 32(24). 8024-8032 (1999)
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[Publications] K. Kakizawaa, A. Harada, K. Kataoka: "Environment-sensitive stabilization of core-shell structured polyion complex micelle by reversible cross-linking of the core through disulfide bond"J. Amer. Chem. Soc.. 121(48). 11247-11248 (1999)
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[Publications] A. Harada, H. Togawa, K. Kataoka: "Physicochemical Properties and Nuclease Resistance of Antisense-Oligonucleotides Entrapped in the Core of Polyion Complex Micelles Composed of Poly(ethylene glycol)-Poly(L-lysine) Block Copolymers"Eur. J. Pharm. Sci.. (In press).
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[Publications] 片岡 一則: "高分子の自己組織化を利用した人工ウイルスベクターの開発"遺伝子医学. 16 (2000)