1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09490016
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐々木 榮英 岐阜大学, 農学部, 教授 (80144004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国枝 哲夫 岡山大学, 農学部, 助教授 (80178011)
北川 均 岐阜大学, 農学部, 助教授 (70144003)
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Keywords | 遺伝病 / 先天性疾患 / 腎不全 / 尿細管形成不全 / 黒毛和種牛 / 牛 / マイクロサテライト / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
黒毛和種牛の若齢から育成牛に好発する腎不全を主徴とする疾患について疫学調査、病態解析、病理学的検査などを実施した。その結果、本病は常染色体性劣性遺伝様式を示し、腎尿細管上皮の配列に異常が起こり正常な尿細管が形成されない尿細管形成不全症(reanal tubural dysplasia)と確定した。このような病変を示す疾患は人やマウスなどを含めて他の動物では報告されていない新しい遺伝病であることが明らかとなった。平成10年度は平成9年度に引き続きウシマイクロサテライトマーカーを用いて病因遺伝子(rtd)の同定を試みた。その結果、平成9年度にはrtdから3cMの範囲にある3種のマーカー(BMS4003、BM9019、INRA119)を特定したが、10年度には、さらに病牛で欠損、ヘテロ牛で1本、健康牛と考えられる牛では2本のバンドを示すマーカー(BNS4009)を特定することが出来た。病牛ならびにヘテロ牛は、BM9019とBMS4009の組み合わせ、または上述のマーカーによるハプロタイプなどを用いることにより、ほぼ正確な遺伝子診断が出来ることを明らかにした。これらのマーカーを用いた遺伝子診断ならびに病牛の病理組織診断から、本病は全国各地で発生しており、その被害は予想以上に大きいことが明らかにされつつある。また、病牛ならびにヘテロ牛の検索結果から、rtdの遺伝子座は第一染色体上の欠損部にあることが明らかになり、現在 BAC(Bacterial arteficial chromosome)を用いて,欠損部の塩基配列を検索しているので、rtdの塩基配列およびアミノ酸配列が明らかにすることが出来るのは時間の問題であり、ノックアウトマウス作成になどよりrtdの機能面における解析も可能になる。
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