1997 Fiscal Year Annual Research Report
三大都市圏における都市農地の現状と有効活用に関する研究
Project/Area Number |
09490026
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
橋本 卓爾 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90279399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 敏夫 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (90233212)
小林 宏至 大阪府立大学, 農学部, 教授 (70081560)
後藤 光蔵 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30013030)
山田 良治 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00135831)
大泉 英次 和歌山大学, 経済学部, 教授 (80116293)
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Keywords | 都市農地 / 生産緑地(地区) / 宅地化農地 |
Research Abstract |
本年度は、(1)三大都市圏の関係都府県および特定市における生産緑地の動向と管理・利用実態、(2)「宅地化農地」の動態、(3)関係都府県・特定市等による生産緑地関連施策の実施状況、(4)都市農地に対する土地税制の適用状況についてそれぞれ首都圏、中部圏、近畿圏ごとに分担して調査するとともに、関連資料・データの収集・整理を行った。その結果、つぎのような知見および成果を得ることができた。 (1)生産緑地地区は、指定後5年間に15,070haから15,399haへ微増した。増えたのはほとんど首都圏で中部圏は横ばい、近畿圏は微減した。しかし、当該特定市の市街化区域内農地面積が1万ha以上も減少したため生産緑地率は当初の30%から39%へと上昇した。生産緑地の管理・利用については、概ね良好であるが、農業の担い手の高齢化・不足、周辺生産環境の悪化等により適正な管理・利用が妨げられているケースもかなり見られる。 (2)「宅地化農地」は、二区分化措置後の5年間に33,358haから23,627haへと1万ha近くも減少した。減少面積の半分強は首都圏が占めているが、減少率が最も大きいのは近畿圏である。年次別には当初は対前年比8%を超える減少率であったが、最近は4〜5%台に落ちている。とくに、ここ1〜2年は大都市圏における土地・住宅情勢を反映して「宅地化農地」の宅地への転用の動きは鈍くなっている。 (3)生産緑地に対する関係都府県・特定市等の施策展開は、注目すべき施策も見られるが、各自治体の財政事情等の制約もあり全体として弱い。また、建設省関連の施策も限られたものであり、生産緑地を活用し良好な都市環境を形成するまでに至っていない。 (4)都市農地に対する土地税制については事例調査の段階にとどまっており、土地流動化等に与える効果については予断を許さない。 次年度は、本年度の知見と成果を踏まえ、都市農地の保全と利活用のあり方と具体的方策について研究する。
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