1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミニブタ受精卵に対する微小ガラス針刺入抵抗計測に関する基礎的検討
Project/Area Number |
09490039
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮脇 富士夫 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室長 (50174222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 学 CSKリサーチパーク, 部長(研究職)
尾股 定夫 日本大学, 工学研究所, 教授 (90060186)
辻 隆之 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 部長 (00075764)
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Keywords | 触覚センサ / 共振周波数 / 細胞膜刺入抵抗計測 / マイクロインジェクション法 / 組換え遺伝子導入 / マイクロピペット / 細胞膜陥凹率 |
Research Abstract |
組換え遺伝子導入法の一つにマイクロインジェクション法がある.これは,専門の熟練技術者を必要とし,効率も悪い欠点がある.本研究目的は,触覚センサ(接触した物体の硬さに比例して共振周波数が変化する現象を利用したセンサ)を用いて,細胞膜の刺入抵抗が計測できるかどうか検討することである.これが可能ならばマイクロインジエクション法の効率化につながる. 昨年度はマイクロインジェクション用マイクロピペットに接続可能な触覚センサを開発した.本年度は,針先が1-2μm程度のマイクロピペットを基本周波数70kHzの振動子にアロンアルファで接着したものを用いて,マウス受精卵刺入時の共振周波数変化を測定した.結果1)刺入抵抗が共振周波数の変化として捉えるれる場合と捉えられない場合があった.この再現性の悪さは,マイクロピペットと振動子の接着法に起因すると考えられた.両者の軸を同一線上に接着することが難しい点.また,ほぼ正しく接続できたとしても接着剤であるアロンアルファが,毛細管現象によってマイクロピペットの内腔を閉塞する難点もあった.この場合,振動系の重心が変化するため,ピペット先端が横振れし,計測を困難にすると考えられた.以上,現在のところ,計測可能な場合でも,透明帯および細胞膜刺入時のみであり,前核膜刺入時の抵抗は共振周波数変化として捉えられていない.現在,マイクロピペットと振動子を確実に接続できるように改良を加えている.2)一般にマイクロピペットを卵細胞に刺入する際,刺入部位がある程度陥凹する.この陥凹率(凹みの最大深さ/細胞直径*100)をビデオ画像から求め,振動子付きマイクロピペットを振動させた場合とさせない場合で比較検討した.振動させない場合(通常の方法)の陥凹率は30-50%であるのに対して,振動させた場合(本法)は10-20%と,通常のマイクロインジェクション法よりも容易に,抵抗少なく透明帯と細胞膜を貫通させることが分かった.この結果から,本法のもう一つの利点が示唆された.
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