1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ドライバーのための「メタ認知」教育支援システムの確立
Project/Area Number |
09551003
|
Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田 博雄 東北工業大学, 工学部, 教授 (90077503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 拓雄 北海道教育大学函館校, 教育学部, 教授 (30142764)
|
Keywords | 危険知覚能力 / CAI / 高齢ドライバー / 自己評価 |
Research Abstract |
ドライバーの危険知覚能力の諸側面について,すでに文部省科研費助成(1994-1996)により完成を見たCAIシステム『予知郎』を使用して,小集団(5〜6名)による実験教育を行なった。総計126名の高齢ドライバーを対象に危険知覚能力診断テストをおこなう前と後で,5段階評価による自己評価の変化の有無を検討した。テスト前後の評価の変動をみると,テスト前の自己評価では,多くの項目で「普通以上」の高い自己評価を示していた。一般にドライバーは自分の能力が他のドライバーに比べて高いとの過大評価傾向が見られるが,高齢ドライバーにおいてもこのことはあてはまる。しかし,テスト後の小集団での討議や自己の成績を知った後での自己評価では75歳未満のドライバーにあっては「普通以下」に低下していた。テスト結果の理解および小集団での討議を経る中で,自己評価に修正が生じたのである。しかし,75歳以上の高齢者においては,この「自己修正」は認められなかった。「後期高齢者」にあったより適切な方法を検討する必要がある。 また,実験教育では2群にわけ,53名については危険源知覚テストに時間制限を設け,73名については特に時間制限を設けずじっくりと交通場面を観察させて,その中に潜む危険源の指摘を行なわせた。両群の総合成績を一元配置分散分析により比較するとその平均は各々14点(SD4.7),11点(SD4.5)であり,5%レベルで有意な差異が認められた。さらに,危険源の発見の困難さに応じて3段階にレベル分けをして比較したところ,レベル1(顕在的危険源知覚)については両群の差が認められなかったが,レベル2(相手の行動予測),レベル3(潜在的危険発見能力または危険発見の積極性)と危険源知覚レベルの違いによって両群の差はより明確となった。時間制限というストレスのもとでは,危険認知能力のなかでも深いレベルの能力が疎害されると思われる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hiro Ota: "CAI-System in the Re-education of Older Drivers'Hazard Perception" Interdisciplinary Information Sciences. Vol.3,No.2. 111-116 (1997)
-
[Publications] Hiro Ota: "CAI-System in the Re-education of Older Drivers'Hazard Perception" International Cooperation on Theories and Concepts in Traffic Safety.(in printing). (1997)