1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ドライバーのための「メタ認知教育」支援システムの確立
Project/Area Number |
09551003
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
宇田川 拓雄 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (30142764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 博雄 東北工業大学, 工学部, 教授 (90077503)
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Keywords | 交通安全 / メタ認知 / 安全教育 / CAI / 高齢ドライバー |
Research Abstract |
本研究は、高齢ドライバーの危険認知能力の主要な側面である「自己に内在する危険源」認知能力を高めるためのトレーニングシステムを確立するために計画された。特に,「過信」は安全運転行動をそこなう大きな要因の一つである。加齢にともなう心身機能低下は徐々に起こってくるため本人の自覚には上りにくい。客観的には衰えが進行しても主観的に意識されるにはタイムギャップが生じる。適切な運転適性の診断により「客観的な自己評価」が可能となる機会が必要である。本研究はこの自己評価能力(メタ認知能力)に関するスキル訓練をフィンランドのMikkonenらによるミラーリング法を援用することにより完成を見た。従来の座学による安全教育では,講師が注意点を一方的に諭すという形が取られてきたが,この問題点は受講者の動機づけを必ずしも高めず,受講者の個人差に応じた効果をもたらさない。ミラーリングは受講者各人に自分の問題点を具体的運転場面に関して理解することを可能にし,その問題点を具体的に克服する方法を理解しうる点において優れている。具体的には,ドライバーの危険知覚能力の諸側面について,CAIシステム『予知郎』を使用し,小集団による実験教育を行なった。総計126名の高齢ドライバーを対象に危険知覚能力判断テストをおこなう前と後で,自己評価の変化の有無を検討した。テスト前後の評価の変動をみると,テスト前の自己評価では,多くの項目で「普通以上」の高い評価を示していた。一般にドライバーは自分の能力が他のドライバーに比べて高いとの過大評価傾向が見られるが,高齢ドライバーにおいてもこのことはあてはまった。しかし,テスト後の小集団での討議や自己の成績を知った後での自己評価では75歳未満のドライバーにあっては「普通以下」に低下していた。テスト結果の理解および小集団での討議を経る中で,自己評価に修正が生じた。
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Research Products
(2 results)