1998 Fiscal Year Annual Research Report
液体アルゴンカロリメータを用いた1GeWn重イオンの核種弁別法
Project/Area Number |
09554013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (40173744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴村 英道 埼玉県立衛生短期大学, 一般教養, 教授 (30100605)
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Keywords | 放射線検出器 / 希ガス液体 / エネルギー損失 / 重イオンカロリメータ / 核種弁別 / 光電離 |
Research Abstract |
本研究は,1GeV/n程度の高エネルギー重イオンのエネルギーを正確に測定するとともにその核種を弁別するために光電離現象を利用した液体アルゴン力口リメータが適していることを示し,その性能を実証することを目的としている。今年度は,シミュレーション計算から得られた結果をもとに昨年度に製作したテスト用のプロトタイプ・力ロリメータに純粋液体アルゴンを充填して放射線医学総合研所HIMACの重イオンビームを照射し,基本性能を調べた。カロリメータ容器は直径16cm(有効直径8cm),長さ40cmの横長の円筒形で,これを断熱用の真空層が取り囲む構造である。円筒の片端には重イオン入射用の薄い窓が取り付けられている。重イオンのエネルギー損失測定の分解能を調べるために,厚めの金属板を数枚並べて幾何学的精度を上げた構造にした。また散乱の影響を調べるために,粒子の通過位置を測定できるように電極の一部をストリップ方式による位置有感型とした。電極間隔5mmである。 使用した重イオンビームは600MeV/n Ne,650McV/n Ar及び500McV/n Feである。ビーム強度は通常100〜200counts per spillで行い,さらにビーム強度に対するエネルギー分解能の変化も調べた。主にビーム入射窓の直後に置かれた単一ギャップの電離箱(CHl)とそのすぐ後ろにある二つのギャップを連結した電離箱(CH2)を用い,印加電場に対する電荷収率とエネルギー分解能を測定した。電場強度の増加とともに,電荷収率は増加し,エネルギー分解能は改善されるが,純粋液体アルゴンでは生成された電子ー陽イオンの再結合が大きく,電荷収率と分解能を決めている。テスト検出器の性能が明らかになったので,今後光電離ガスを加えることにより収率,分解能ともに改善されると思われる。
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[Publications] H.Okada: "Allene-doped liquid Ar homogeneous calorimeter for measurement of heavy ion fragmentation" Jpn.J.Appl.Phys.37,12A. 6587-6594 (1998)
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[Publications] T.Doke: "Present status of liquid rare gas scintillation detectors and their new application to gamma-ray calorimeters" Nucl.Instr.Meth.in Phys.Res.A. 420,1. 62-80 (1999)