1997 Fiscal Year Annual Research Report
火山活動及び活断層観測用高密度地殻変動観測システムの開発
Project/Area Number |
09554021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30220073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 健 九州大学, 理学部, 助手 (40222301)
中尾 茂 東京大学, 地震研究所, 助手 (90237214)
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Keywords | GPS受信機 / GPS観測 / 地殻変動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,近年普及の著しいカ-ナビゲーション用GPS受信機基板を用いて,この基板の小型・軽量・低消費電力であると言う特性を生かし,火山周辺や活断層周辺の野外で使える可搬性能の高い,地殻変動観測用干渉測位GPS観測装置を開発して,その性能を評価することである.本年はこのうち,試作装置の製造を行い,試験観測を開始した. 試作装置はGPS受信機基板と記録装置からなる.受信機基は古野電気製GS-74改良品を用いた.最初に,この受信機単体の性能試験を行った.その結果,建物の屋上等見晴らしの良い場所では,基線長約6kmの場合,長さで4mm,高さで8mmの精度を持つことが分かった.次いで,このシステム専用の記録装置を開発した.小型・軽量,低消費電力で大容量(1GB)のハードディスクを持ち、長期間の野外観測に適したものである.アンテナ,アンテナ線を含めた全体の重量は2.9kg,消費電力は通常時1.2Wである.消費電力に関しては,電源部の工夫によって3〜4割程度軽減できる見込みで,今後の課題としたい. このシステムの動作を調べるために,稠密な光波観測網がある静岡県伊東市周辺で試験観測を始めた.観測点は現在10点で,平均的な観測点間距離は約2kmである.この試験観測は昨年9月に始め,現在も続けられている.観測精度を短期再現性から推定すると,基線長で3+0.8×Lmm,高さで7+1.25×Lmm(LはKm単位の基線距離)であることが分かった.受信機単体での試験結果に比べ若干精度が落ちるのは,アンテナの設置条件がやや劣るためであると思われる. 本年は研究の初年度で,主としてシステム開発と試験観測に力を入れたので,成果としての印刷済みの論文はまだないが,印刷中のもの1編,準備中のもの2編ある.今後,研究の進展にあわせて順次発表したい.
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