1998 Fiscal Year Annual Research Report
火山及び活断層観測用高密度地殻変動観測システムの開発
Project/Area Number |
09554021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30220073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 健 九州大学, 理学部, 助手 (40222301)
中尾 茂 東京大学, 地震研究所, 助手 (90237214)
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Keywords | GPS / GPS観測 / 地殻変動 / 群発地震 |
Research Abstract |
本研究の目的は,火山や活断層周辺の詳細な地殻変動を観測するために,可搬性や操作性が高く低消費電力で商用電源に頼らず,電池でも動作可能な地殻変動観測装置を開発し,試験観測を通してその有効性を検証する事である.この目的のために昨年度は試作装置を完成し,ほぼ2年に1度の割で群発地震活動がある伊東市周辺で10点の観測点を設け,試験観測を開始した.本年度はその観測を継続すると共に,観測データの解析を行なった.更に装置の改良も行ない,電源のない無人島での観測を開始した. 1998年4月20日より静岡県伊東市沖で群発地震が始まり,昨年の試験観測の開始以来,初めて群発地震活動に伴なう地殻変動を観測した.観測データからこの活動に伴なう地殻変動が詳細に推定できた.それによると,群発地震の発生に同時に開口割れ目により説明できる地殻変動が始まり,地震活動が終わるまで同じ方向の変動が続く.変動速度は地震活動の始まった頃が最も大きく,その後徐々に小さくなって行く.更に群発地震の活動期間中にM5.7を筆頭にMが4以上の地震が11個発生した.我々は高密度,高時間分解能の観測を行なっているため,これらの地震断層による地殻変動と開口割れ目による地殻変動を分離して解析する事ができた.今後更に解析を進め,この群発地震に伴なう地殻変動のメカニズムを解明したい. また,この観測装置を太陽電池で運用し,無線データ伝送装置で遠隔観測ができるように改良した.改良した装置は,伊東市沖の無人で電源のない手石島に1998年9月に設置し観測を開始した.この島は群発地震活動域の直上にあり,地殻変動観測行なう必要性を従来より論じられてきたが,島に電源がないため実現できなかった.この装置の改良によりこの様な観測環境の悪い場所でも地殻変動観測が可能になり,今後は貴重なデータが取得できると期待できる.
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