1999 Fiscal Year Annual Research Report
進化生物学の新材料の開発-介形虫における「ポア時計」の確立
Project/Area Number |
09554024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩見 雅史 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40193768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚越 哲 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (90212050)
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Keywords | 介形虫 / ポアシステム / リボゾームRNA / 系統 / 低次分類 / 高次分類 / PCR |
Research Abstract |
DNA分析による介形虫の系統推定は、まだ低次分類が主であり、目や科、属間のような種間を超える高次分類の推定はこれまで十分に行われていない。そこで、介形虫の高次分類の系統推定を行うため、27種の節足動物でその配列が明らかとなっている18SリボゾームRNA(18SrRNA)遺伝子配列を決定した。介形虫には石川県珠洲郡内浦町九十九湾または能登島箱名入江にて採集したLoxoconcha uranouchiensis を用いた。試料はDNA解析まで、-80度で保存した。PCRにより、18SrRNA遺伝子の一部(1099bp)を増幅し、プラスミドベクターに挿入した後、塩基配列を決定し、Stenocypris major (Cypris上科)とBairdia sp.(Bairdia上科)の18SrRNA遺伝子と比較した。塩基配列データの解析から、L.Uranouchiensisは、Bairdia上科とCypris上科に近く、Cythere上科に遠い系統解析結果が得られた。ブーツストラップ確率は70%以上の値を示しており、この系統結果の信頼性が高いことを示している。この結果は、Scott(1961)の殻形態からの系統推定結果と一致し、pore-systemからのものとは異なっていた。介形虫3種の塩基配列の相同度は85%程度であったことから、本研究により得られたデータは、介形虫上科間の系統分析のみならず、科間の系統分析にも有効であることが示唆された。
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