1997 Fiscal Year Annual Research Report
低分子有機酸類の分子レベル炭素同位体比の測定法の確立と応用
Project/Area Number |
09554030
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古宮 正利 通産省工業技術院, 地質調査所・燃料資源部, 主任研究官
石渡 良志 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90087106)
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Keywords | 低分子有機酸 / モノカルボン酸 / ジカルボン酸 / ヒドロキシカルボン酸 / 分子レベル炭素同位体比 / GC / C / IRMS / 固相マイクロ抽出 |
Research Abstract |
自然環境中にも広く存在し、地球環境における種々のプロセスで重要な役割を果たしている低分子有機酸類(モノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸)の分子レベル安定炭素同位体比をガスクロマトグラフ燃焼同位体比質量分析計(GC/C/IRMS)を用いて測定するための分析法の基礎的検討を行った。 まず、低分子有機酸類の標準有機試薬を従来法(ダブルインレット法)にて炭素同位体比測定を行った。用いた有機酸はモノカルボン酸として炭素数1から6までのギ酸からヘキサン酸や芳香族カルボン酸である安息香酸など、ジカルボン酸としては炭素数2から6までのシュウ酸からアジピン酸など、ヒドロキシカルボン酸としては乳酸やリンゴ酸などであった。アミノ酸はグリシン、アラニンなど約6種類であった。次に数ナノモルから数十ナノモル程度の個々の有機酸の炭素同位体比をGC/C/IRMSにて測定する検討を行い、従来法で得られた値と比較し、分析精度の検討を行った。ジカルボン酸の誘導体化についてはBF_3/BuOHまたはHCl/BuOHを用いたブチルエステル化が有効であり、各化合物間で誘導体化における同位体分別がないことが確かめられた。さらに設備備品費で購入した装置で試料の前処理方法を検討した。 また、揮発性のあるモノカルボン酸については誘導体化を行わずに極性のキャピラリーカラム(FFAP)を用いての同位体比測定も検討した。固定相マイクロ抽出シリンジを用いて標準試料水溶液中のモノカルボン酸を直接シリンジ上に抽出し、GC/C/IRMSで測定した。同位体内部標準として低分子アルコールを最初用いたが、モノカルボン酸とアルコールの間に燃焼効率の違いがあり、同位体測定に問題があった。今後、試料に含まれない構造異性体のカルボン酸同位体標準を用いる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 奈良岡 浩ら: "ガスクロマトグラフ燃焼同位体比質量分析計を用いた有機分子レベルの軽元素同位体比測定と地球化学への応用" 地球化学. 31. 193-210 (1997)
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[Publications] H.Naraoka ら: "Carbon isotopic compositions of Antarctic carbonaceous chondrites with relevance to the alteration and existence of organic matter" Geochemical Journal. 31. 155-168 (1997)
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[Publications] H.Naraoka ら: "Molecular distribution of monocarboxylic acids in Asuka carbonaceous chondrites from Antarctiea" Origins of Life and Evolution of the Biosphere. (印刷中). (1998)
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[Publications] Y.Watanabe ら: "Carbon,nitrogen,and sulfur geochemistry of Archean and Proterozoic shales from the Kaapvaal Craton,South Africa" Geochim.Cosmochim,Acta. 61. 3441-3459 (1997)