1999 Fiscal Year Annual Research Report
低分子有機酸類の分子レベル炭素同位体比の測定法の確立と応用
Project/Area Number |
09554030
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古宮 正利 通産省工業技術院, 地質調査所・燃料資源部, 主任研究官
石渡 良志 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90087106)
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Keywords | 低分子有機酸 / 炭素同位体比 / 石油鉱液 / 降水 / ケロジェン / クラッキングモデル / 速度論的同位体効果 / 同位体平衡 |
Research Abstract |
昨年度行った秋田県申川油田(中新世)の石油鉱液中の低分子モノカルボン酸の分子レベル安定炭素同位体比をもとに酢酸、プロピオン酸、酪酸などの起源や生成メカニズムを考察した。酢酸とプロピオン酸の間で同位体的に正の相関(r^2=0.94)がみられたこと、ケロジェンの含水熱分解実験から得られた酢酸とプロピオン酸の炭素同位体比はその同位体的な正の相関上にプロットされたことから、ケロジェンのクラッキングでの生成による同位体分布を考察した。過去に行われたケロジェンのクラッキングによるメタン・エタンなどのガス生成とは異なり、酢酸やプロピオン酸の炭素同位体組成は単純なクラッキングモデルでは説明できず、分子間での同位体の再分配やケロジェン中の同位体分布が不均一である可能性が示唆された。これらの結果の一部を日本地球化学会1999年度年会で口頭発表を行ったほか、アメリカにおけるゴードン会議「化学と生物学における同位体」においてポスター発表を行った。 さらに環境試料として東京における降水中に含まれる低分子有機酸(主にモノカルボン酸であるギ酸や酢酸)の分子レベル安定炭素同位体比をガスクロマトグラフ燃焼同位体比質量分析計による測定を試みた。その結果、雨水中に最も多く存在する有機酸であるギ酸の炭素同位体比は約-30から-5%_o(vs.PDB)の幅広い変動を示し、有機物の酸化過程で速度論的に生成したものと無機炭酸(CO_2やHCO_3^-,CO_3^<2->)と同位体的に平衡にあるものの存在が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Naraoka, A.Shimayama, K.Harada: "Molecular distribution of monocarboxylic acids in Asuka carbonaceous chondrites from Antarctica"Origins of Life and the Evolution of Biosphere. 29. 187-201 (1999)