1997 Fiscal Year Annual Research Report
微小配向試料から三次元構造情報を得るための顕微赤外分光器の開発
Project/Area Number |
09554033
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 文俊 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70214468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 照樹 日本分光株式会社, 第一技術部, 次長
|
Keywords | 顕微赤外分光法 / FT-IR分光器 / 三次元構造解析 |
Research Abstract |
微小結晶や配向試料の構造研究に対して顕微赤外分光法は有力な手段であるが、これまでの主に微小組織の組成調査などのただ単なる分析手段として用いられている。実際、顕微赤外分光器ではカセグレイン光学系を用いて赤外線を集光しているために、試料に対して赤外線の入射方向が一方向でなく幅広く分布しており、通常の方法では詳しい構造解析には不向きである。しかし、カセグレイン光学系の特性を利用することで斜入射光をもちいた三次元構造解析が可能になる。 本年度はまず市販の顕微赤外分光器について検討を行い、赤外光束中でのエネルギー密度にかなり大きなばらつきがあること、また斜入射光を利用した測定を行うためには光の利用効率の高い光学系になるように改良を行う必要があることが分かった。このために、通常の顕微赤外分光器の性能では構造解析を目的とする研究には不十分であるため、通常のFT-IR分光器を用いて新たに顕微赤外測定システムを構築することにした。できるだけ空気中の水蒸気と二酸化炭素の影響を除くため、排気可能な全真空型分光器を購入した。またできるだけ均一のエネルギー密度を示すビームスプリッタを選定してマイケルソン干渉計に取り付けた。また赤外光束のエネルギー密度を上げるため、分光器から外部に取り出した赤外光束がカセグレイン光学系に入る直前にビームコンデンサーを通過するようにした。これによりエネルギー密度を約3倍まで高めることができた。来年度は、傾斜透過法と偏光ATR法が適用可能な赤外顕微鏡の製作とそれを用いた微小結晶の構造研究を行う。
|