1998 Fiscal Year Annual Research Report
コストパフォーマンスの優れた大規模計算用の汎用理論計算システムの構築
Project/Area Number |
09554035
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富岡 秀雄 三重大学, 工学部, 教授 (20024599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅山 伸二 サイエンティスツパラダイス社, 技術顧問
小関 史朗 三重大学, 工学部, 助教授 (80252328)
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Keywords | パラレル化 / PVM / 量子化学計算 / TCGMSG / GAMESS / Gaussian / 大規模有機分子 |
Research Abstract |
近年計算機とソフトウェアの発達によって、かなり大規模な計算が可能になりつつある。しかし、このような計算が可能なのは未だ一部の大型計算機を利用できる理論計算家に限られている。そこで本研究では大型計算機を用いることなく、安価なワークステーションを複数用い、同時に起動させることによって計算を並列に行い大規模な計算が可能なシステムを構築することを目的とした。また、高速ネットワークを経由して、異なる機種のワークステーション間でもパラレル計算ができるようなシステムについても検討する。 研究開始当初において単体性能がの最も優れたDigital Equipment CorporationのAlpha CPUを複数(2〜4、8)用いた安価なクラスタシステム(サイエンティスツパラダイス社製)を導入した。量子化学計算ソフトウエアとしては、世界中に多数のユーザを有するGaussianシリーズと二番目に多いGAMESSを用いた。また、パラレル計算のためのインタフェイスとしては、従来用いられていたTCGMSGと最近広く用いられるようになったMPI(PVM)を利用した。 公式版の量子化学計算プログラムGaussian 94(98)は、Lindaと呼ばれるパラレル化用ソフトウエアを用いて高速計算が可能である。しかしながら、Lindaを用いたパラレル化はあまり普及しておらず、ユーザを考慮した場合、最近普及しはじめたMPIを用いてパラレル化を行うのが適切であると考え、開発を行ってきた。しかしながら、版権の問題が生じ、残念ながら開発したプログラムを公開することはできない。そこで、我々はテスト計算の結果のみを公開することにした。 一方、GAMESSは、開発元のIowa State University,Gordon教授のグループにおいてMPI化がかなり進んでおり、我々はそのプログラムに手を加えて移植することにより開発時間を短縮し、我々の実際の研究に必要な計算を実行する手段を取った。 本プロジェクトにおけるパラレル化により、必要とされる大規模分子の計算が高速に実行可能になった。理論計算の種類によって異なるが、1つのCPUを用いた場合に比べて、4つのCPUを用いた場合は約3倍、8つのCpUを用いた場合は6〜7倍程度の高速計算が可能になった。高価な大型計算機(スーパーコンピュータなど)を用いないと実行不可能であった理論計算も、安価な計算機クラスタにより比較的短い時間で実行可能になった。現在、我々の研究室(富岡、小関)では、30数原子からなる分子の比較的高いレベルの理論計算(Hartree-Fock近似を越えた計算)を実行し、研究を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Azumao TOYOTA: "Energy Component Analysis of the Pseudo-Jahn-Teller Effect in the Ground States of the Triafulvalene Anion,Pentafulvalene Cation,and Heptafulvalene Anion Radicals" J.Phys.Chem.102. 490-495 (1998)
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[Publications] Azumao TOYOTA: "Electronically Excited Singlet State of Fulvalene Systems: Energy Component Analysis of the Pseudo-Jahn-Teller Effect by Ab Initio MCSCF Calculations." J.Phys.Chem.102. 6668-6675 (1998)
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[Publications] Shiro KOSEKI: "Effective Nuclear Charges for the First-Through Third-Row Transition Metal Elements in Spin-Orbit Calculations." J.Phys.Chem.102. 10430-10435 (1998)
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[Publications] Shigeru MURATA: "Photochemistry of 2,4-Bis(diazo)-1,2,3,4-tetrahydronaphthalene-1,3-dione: Selective photodecomposition of One of the Two Inequivalent Diazo Groups" J.Am.Chem.Soc.120. 9088-9089 (1998)
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[Publications] Athanassios NICOLAIDES: "Direct Observation and Identification of p-Phenylenebis(nitrene). A Labile Quinoidal Diradical" J.Am.Chem.Soc.120. 11530-11531 (1998)