1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の酸化還元に伴う配位子の塩基性変化を用いた金属イオンの捕集システムの開発
Project/Area Number |
09554037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金里 雅敏 工業技術院, 東北工業技術研究所・機能化学部, 主任研究官
鈴木 敏重 工業技術院, 東北工業技術研究所・機能化学部, 主任研究官
阿部 正明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90260033)
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Keywords | 金属間結合 / 遷移金属錯体 / 機能性電極 / 酵素モデル錯体 / 金属クラスター錯体 / 酸化還元反応 / 修飾電極 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、主に重遷移金属イオンの単核および複核錯体の酸化状態を電気化学的に制御して、溶液系から金属イオンを可逆的に捕集出来るシステムを開発することである。さらに、本研究では生体系にみられる金属イオンの捕集、貯蔵、輸送、排出などの現象の機構を理解する上での基礎的に重要な情報を提供することも付属的な目的としている。今年度は初年度に合成した錯体のうち特にオキソ架橋型の複核ルテニウム錯体に注目し、その金属イオン存在下での酸化還元挙動を非水溶液中で詳細に調べると共に、その金電極上への固定化と機能評価を行った。その結果、非水溶液中での金属イオンのオキソ架橋との相互作用は期待したほど速やかではなく、最終目的のためには問題点も多いことが明かとなってきた。(1)オキソ架橋Ru複核錯体の金属イオン存在下での酸化還元挙動。RU_2(u-O)(u-CH_3COO)_2型錯体を用いて研究を進めた。アセトニトリル中、Al^<3+>、Na_+、Li共存下では、還元状態でこれら金属イオンがオキソ架橋と相互作用することがあきらかとなった。相互作用により酸化還元電位が大幅に正側にシフトしたが、プロトン付加に比べ、酸化還元波の可逆性は劣り、相互作用の速さは本研究の最終目的には不十分であることがわかった。(2)RU_2(u-O)(u-CH_3COO)_2型錯体を固定化した金電極の酸化還元挙動。この型の錯体の金電極上への導入にようやく成功し、その特徴であるプロトン共役電子移動反応について調べた。その結果、溶液中で観測された挙動と同様の優れたプロトン共役電子移動が認められた。測定系としては、水溶液を用いたが、もとの錯体が水に溶けないことから、水溶液系でこの錯体の酸化還元挙動が初めて観測されたことになる。 この結果は、固体上に固定化した金属錯体のプロトン共役電子移動として最初の観測結果である。本年度は目的に向けての一定の成果も得られたが、問題点もまた明かとなり次年度の目標も明確となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Sugimoto: "Oxorhenium(V)Complex of Amidophenolate: Structure and Redox Characteristics." Chem.Lett.3. 197-198 (1998)
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[Publications] M.Akiba: "A Platinum(II) Complex Containing Carbon-Bonded ‘Nitromethane': [Pt(CH_2NO_2)(2,2':6,2"-terpyridine)]^+." Inorg.Chem.Comm.1(No.2). 61-63 (1998)
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[Publications] J.M.Botha: "Chelation porcesses to an Oxorhenium(V) Center by N,N,N,O-Tetradentate and N,N,O-Tridentate Ligands as Verified by Structural and Mechanistic Studies of Intermediate Species." Inorg.Chem.37(No.7). 1609-1615 (1998)
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[Publications] T.Fukumoto: "Preparation and Properties of a Series of the(μ-Oxo)di(μ-acetato)diruthenium(III) Complexes. [Ru_2(μ-O)(μ-CH_3COO)_2(Pyridine)_4(L)_2]^<2+> and [Ru_2(μ-O)(μ-CH_3COO)_2(AA)_2(L)_2]^<2+>, where AA is 2,2'-Bipyridine or 1,10-Phenanthroline, and L is a Monodenatte Ligand." Inorg.Chem.Acta.283(No.1). 151-159 (1998)
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[Publications] K.Funatsu: "Novel Cofacial Ruthenium(II) Porphyrin Dimers and Tetramers." Inorg.Chem.37(No.19). 4986-4995 (1998)
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[Publications] M.Abe: "Syntheses, Structures and Fluctional Behavior of Tricarbonyl Mo(0) and Trioxo Mo(VI)Complexes of Tris(2-pyridylmethyl)amine with One Free Arm." Chem.Lett.2. 163-164 (1999)