1999 Fiscal Year Annual Research Report
ビスアミノ酸誘導体を配位子とするバナジウム錯体の合成とインスリン様作用の評価
Project/Area Number |
09554040
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小嶋 良種 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40047139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 尚久 帝京大学, 理工学部, 助教授 (40230271)
築部 浩 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00144725)
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
足立 英齋 サンヨーファイン株式会社, 研究開発部, 部長
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Keywords | N,N'-エチレンビスアミノ酸 / オキソバナジウム錯体 / X線解析 / インスリン様作用 / ヒスチジン誘導体 / CDスペクトル / 熱天秤・示差熱分析 / アスパラギン酸誘導体 |
Research Abstract |
前年度までに、N_2O_2型のN,N'-エチレンビスアミノ酸(XeX')を配位子とするバナジル(VO)錯体のうち、in vitroでインスリン様活性の高かった錯体、VO(GeG)およびVO(^mGeG^m)錯体(^mG=G^m=N-メチルグリシン)のin vivoでの血糖正常化作用をテストした。5mg V/kgの腹腔内投与で、緩やかな血糖正常化作用がみられ、1週間の投与で血糖値がほぼ正常域(200mg/dl以下)に達した。投与中止後、数日経っても血糖値はほぼ正常域を保っていた。2つの錯体を比べると、VO(GeG)よりもVO(^mGeG^m)の方がより有効であった。また、BUN(血中尿素窒素)レベルにわずかではあるが改善がみられ、体重の減少も生じることなく毒性も低いと思われた。しかし、残念ながら、これらの錯体の血糖正常化作用はいずれも、世界的にみて最も有望な錯体の一つであるピコリン酸-VO錯体より高いものではなかった。 さらに、本申請で企画したビスアミノ酸誘導体に加えて、新規擬三脚型のヒスチジンおよびアスパラギン酸誘導体(N_3OおよびN_2O_2型)を配位子とするVO錯体を用いたところL体、D体に関わらず高いインスリン様活性を示した。これら錯体のうち、高い安定性や高い脂溶性をもつものに関して、今後、in vivoにおける血糖正常化作用についての検索を行う必要がある。また、5座配位子である新規擬4脚型のヒスチジンおよびアスパラギン酸誘導体(N_4OとN_3O_2型)を配位子とするVO錯体も活性を示さなかったことから、インスリン様活性の発現には、N,N'-エチレンビスアミノ酸を配位子とするVO錯体と同様、H_2Oか置換されやすい対アニオン(ClO^<4->など)が配位している錯体が高いインスリン様活性を示すことが確証された。
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[Publications] 小嶋、桜井ら: "Stereospecific and Structure-Dependent Insulin-mimetic Oxovanadium-(IV) Complexes with N,N'-Ethylenebis(amino acids)"J.Amer.Chem.Soc.. 121. 7937-7938 (1999)
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[Publications] 桜井、小嶋ら: "Interaction of Vanadyl Complexes with Biological Systems: Structure-Insulin-mimetic Active Relationship of Vanadyl-Picolinate Complexes"Inorg.React.Mach.. (in press).
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[Publications] 小嶋ら: "Syntheses and Crystal Structures of Oxovanadium (IV) Complexes with N,N'-Ethylenebis(amino acids)"Inorg.Chim.Acta. (in press).