1997 Fiscal Year Annual Research Report
超尖鋭な先端を持つカーボンナノチューブの電界電子放出と電子源への応用
Project/Area Number |
09555003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 三重大学, 工学部, 助教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 勝廣 日立中央研究所, 先端技術研究部, 部長
畑 浩一 三重大学, 工学部, 助手 (30228465)
大下 昭憲 三重大学, 工学部, 教授 (80023240)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出 / 電子源 / 電界放出顕微鏡 / 多層ナノチューブ / 単層ナノチューブ |
Research Abstract |
カーボンナノチューブは,グラファイトシートを円筒状に丸めた構造を持ち,直径が1〜30nmと非常に細いので,その先端も曲率半径が小さく尖っている。さらに,ナノチューブは化学的に安定でしかも機械的な強度が強いので,電界放出のエミッターとして好適である。実際に,電界放出型電子源の陰極材料としての応用が期待されている。しかし,チューブ先端の電子放出部分の原子構造はもちろん、電子放出パターンや電子源としての基礎特性はまだ明らかにされていない。本年度は、まず電界放出顕微鏡(FEM)およびプローブホール電流測定装置を作製し,これらを用いてカーボンナノチューブ先端の原子構造の観察および電流-電圧特性の測定を行った。本研究では,多層ナノチューブおよび単層ナノチューブからの電子放出を調べた。 閉端多層ナノチューブからの電界放出パターンには,おのおののチューブに対応した斑点が観察されたが,その内部には原子構造を反映する微細構造は観察されなかった。他方,開端多層ナノチューブにおいては、先端の開いた構造を反映したリング状のパターンを観察し,電界放出が先端部の切り口全体から生じていることを明らかにした。 単層ナノチューブからの電界放出パターンは閉端多層ナノチューブからのものとよく似ていて,幾つかの斑点が観察された。それぞれの斑点は単層ナノチューブの束に対応することを示した。 プローブホールを用いて測定した電流電圧特性から,電子放出開始の閾値電圧は開端ナノチューブにおいて最も低いことを見い出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yahachi Saito: "Conical Beams from Open Nanotubes" Nature. 389. 554-555 (1997)
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[Publications] Yahachi Saito: "Field Emission Patterns from Single-Walled Carbon Nanotubes" Japanese Journal of Applied Physics. 36. L1340-L1342 (1997)
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[Publications] Yahachi Saito: "Field Emission from Carbon Nanotubes;Puried Single-Walled and Multi-Walled Tubes" Ultramicroscopy. (印刷中).