1997 Fiscal Year Annual Research Report
超高電界ダイヤモンド光電素子の開発とその高出力THz光源への応用
Project/Area Number |
09555008
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー極限技術研究センター, 助手 (00210790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 和宏 NEC基礎研究所, 材料研究部, 研究専門課長
西岡 一 電気通信大学, レーザー極限技術研究センター, 助教授 (70180586)
植田 憲一 電気通信大学, レーザー極限技術研究センター, 教授 (10103938)
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Keywords | テラヘルツ放射 / ダイヤモンド / ドリフト速度 / キャリヤ-寿命 / 超短パルスレーザー / 気相合成法 / 電気光学測定 / 高出力電磁波源 |
Research Abstract |
高出力THz光源としてのダイヤモンド光伝導素子を評価するため、超短パルスレーザー照射時のキャリヤ-生成・消滅過程、加速過程を測定するシステムを確立し、実際のCVDダイヤモンド薄膜で計測を行った。ダイヤモンドの高いバンドギャップエネルギーに合わせてポンプ光は400nm、250nmの2種類を用意し、光伝導特性の励起波長依存も評価でき、また、空間・時間分解能はそれぞれによるそれぞれ5μm、250fsを達成した。このシステムによる測定で以下のことが明らかになった。 1.CVDダイヤモンド内のキャリアー寿命には1〜2ピコ秒の短いものと数十ピコの長いものがあった。その励起波長依存性から、これらは吸収領域の差や励起されたキャリヤ-のバンド構造における位置の差であると考えられた。また、この短い寿命を積極的に利用したギャップ内粒径のみを小さく制御する新しい素子設計が提案された。これにより、1kV、1psパルス発生が可能となりTHz以外の応用にも大きな貢献となった。 2.測定された電気パルスの立ち上がり時間は最短で500fs程度であり、電気パルス伝播に伴う分散が主な決定要因であったが、電界依存性や励起強度依存性からキャリアーの加速は少なくとも500fs以下で終了し、定常値に達していることが分かった。これをもとに計算機シュミレーションにより素子からのTHz放射強度が計算され、現状でも10000倍の強度が得られることが分かった。 3.その他、光伝導ギャップ長依存性から、オーム接触されているPt電極でも移動度の低下に寄与すること、6μm粒径という小ささでありながら高電解によって光学フォノンによる飽和速度程度まで加速が可能であることが分かった。 これらの基本特性をもとに高出力THz源を実現する励起システムの開発をスタートしている。
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