1997 Fiscal Year Annual Research Report
同一セッティングによる異方性物質の異方的熱拡散率、熱伝導率の同時決定法
Project/Area Number |
09555018
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
池部 學 岩手大学, 工学部, 教授 (40005955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤代 博之 岩手大学, 工学部, 助教授 (90199315)
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Keywords | 異方的熱物性測定 / 同一セッティング / 完全自動計測技術 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 比熱 / 極低温 |
Research Abstract |
材料科学の分野において、種々の新しい機能を有する配向制御された薄膜や高品質バルク単結晶の作製および評価は、物性研究の基本である。これらの試料の物性評価の中で、熱伝導率κ、熱拡散率α、比熱Cなどの熱物性値もまた非常に重要な物理量であるが、その困難さから一部の研究者に限られていたが、研究代表者のグループは10-200Kの温度範囲で極低温における固体の熱伝導率κを定常熱流法により、さらに同一セッティングで、任意加熱法を原理として熱拡散率αを測定する自動測定装置を開発してきた。本研究では、以上の等方性(1次元解析が可能な)試料に対する研究成果を異方性物質の異方的熱物性値の測定に適用するために、2次元または3次元の異方的熱伝導率、熱拡散率を測定するための測定、解析方法の確立をめざし、今年度は以下の点について検討を行った。 (1)測定システムの構築 2次元の異方的熱物性値を算出するために、高速応答に必要な熱電対および熱電対用接着剤の選定や、試料と熱浴との熱的接続方法の検討、微小単結晶試料に対する熱電対の接着方法の確立、また熱伝導率の絶対値に影響を及ぼす幅射損失を最小にする幅射シールドの設計など技術的な問題を解決した。その結果、数mm間隔でX-Z方向の6地点の温度計測を毎秒18回(タイムスタンプ付で)可能な計測システムを完成させた。 (2)接触熱抵抗の定量化と解析へのフィードバック 上記測定システムを用いて2次元の異方的熱物性測定を開始した。非定常熱流法による熱拡散率の測定や比熱の算出では,試料と熱浴の間に存在する接触熱抵抗Rcを考慮した解析を行わなければ算出値に誤差を生じ、特に熱伝導率の大きな試料や、熱浴との熱接触が不十分な試料の測定の場合には重要な問題となることが明らかになった。そこで接触抵抗熱を正確に見積り、その値を用いて熱拡散率を算出する3点同時測定法を提案し、その有効性について検討を行っている。
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