1998 Fiscal Year Annual Research Report
香り識別センサの検討とミカンの香り識別システムの開発
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09555025
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
藤本 晶 和歌山工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (10238610)
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Keywords | 酸化第二錫 / ガスセンサ / 分子軌道法 / 臭いセンサ |
Research Abstract |
これまで種々の直鎖形一価アルコールに対するSnO_2ガスセンサの応答特性と,各アルコール分子の性質とを調べ,センサの過渡応答がアルコール分子の二次の超分極率に,また定常応答が分極率に強く関係付けられることを明らかにし,香り識別の可能性を示してきた。今年度はこれまでの成果を基にして,種々のガス分子とSnO_2ガスセンサ表面との反応の違いを調べるために,分子軌道法を用いた計算機シミュレーションを行い,実験結果との比較を行った。シミュレーションには半経験的分子軌道法を用い,計算機上にSnO_2クラスターを構成して種々のガス分子とSnO_2クラスターとの反応を調べた。ガスとして,水素ガス,メタノールガス,エタノールガスを用い,シミュレーション結果から現実のSnO_2ガスセンサの表面反応の説明を試みた。その結果,水素ガスは水素分子H_2のままではSnO_2と反応しないが,水素原子H^+に分解されると良く反応すること,メタノールガスは分子CH_3OHのままでも,またCH_3^+やOH^-のラジカルに分解されてもSnO_2と反応しないことを明らかにした。これに対しエタノールガスは分子のままでもSnO_2の酸素原子と反応することが判明した。このことからSnO_2ガスセンサは水素に対して高い感度を有すること,およびメタノールとエタノールとの比較ではエタノールに対して,より高い感度を有することが予想された。この結果は水素,エタノール,メタノールの順に感度が悪くなるという実験結果と良く一致し,シミュレーションの結果は現実のSnO_2ガスセンサの表面反応の一端を示しているものと考える。今後計算条件をより現実に近づけてシミュレーションを進め,香り識別のための基本的な手法を提案して行く予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藤本 晶: "市販のガスセンサによる香り識別の試み" センシング技術応用研究会薄膜センサ技術分科会第43回資料. 1-9 (1998)
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[Publications] 金島岳,藤本晶,奥山雅則: "SnO_2上メタノールおよび水素の表面吸着の分子軌道法による検討" 1998年(平成10年)秋期第59回応用物理学会学術講演会講演予稿集. II. 546 (1998)
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[Publications] 藤本晶,金島岳,奥山雅則: "SnO_2ガスセンサの応答特性の検討" 1999年(平成11年)春期第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. I. 503 (1999)
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[Publications] 金島岳,藤本晶,奥山雅則: "SnO_2表面へのアルコールとその分解種吸着の分子軌道法による検討" 1999年(平成11年)春期第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. II. 683 (1999)
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[Publications] T.Kanashima,A.Fujimoto,M.Okuyama: "Theoretical Analysis of Methonol and Hydrogen Adsorptions on SnO_2 by Mdecular Orbital Calculation" Transducers 99. (発表予定 1999年6月, Sendai). (1999)