1997 Fiscal Year Annual Research Report
幾何情報保存法による次元・任意形状系における非灰色ふく射伝熱高速数値解体の開発
Project/Area Number |
09555068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 一彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40142690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 正人 石川播麿工業(株), 技術研究所, 専門課長
中村 恒明 東京ガス(株), エネルギー技術研究所, チームリーダ
持田 明野 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50241352)
黒田 明慈 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90202051)
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Keywords | ふく射伝熱 / 数値解析 / 非灰色 / 火炉 / ボイラ / 加熱炉 |
Research Abstract |
(目的)本研究では、非灰色ふく射伝熱解析を従来の灰色解析とあまり変わらない高速で実行することのできる、非灰色ふく射伝熱高速数値解析アルゴリズムを新しく開発し、これに対流による熱輸送を組み込んで、「任意形状3次元非灰色ふく射・対流共存伝熱解析ソフト」を完成させることを目的としている。 (本年度の実績) 1.本プログラムの主要ユーザである燃焼火炉、ガスタービン及び宇宙機器等の設計者からの要求をまとめ、灰色壁に囲まれた、3次元的な組成・発熱密度・流速分布のある非灰色ガス系での上記プログラムの開発を行うこととした。 2.本研究で使用する、燃焼ガスの単色吸収係数を狭域バンドモデルを用いて求めるプログラムを高速化した。 3.非灰色解析を高速で行うためのアルゴリズムを開発し、その妥当性を確認した。 ふく射伝熱解析では主要変数として、物理的な距離と気体の吸収係数の積をとった「光学距離」を使用し、これを用いて、系内のふく射エネルギー交換量をモンテカルロ法により求めているが、これは、吸収係数が対象としている波長および温度分布が変わると変化するため、系固有の値とはならない。従って、温度収束計算の過程で、系内の温度が変化するたびにこの光学距離を求めなおす必要があり、これに伴って時間の長いモンテカルロ計算を繰り返す必要があった。 そこで、光学距離を系固有の値である要素間の物理的な距離関係(幾何情報)と、系の条件によって変化する吸収係数とに分離し、系固有の値を有する前者を最初に一回だけ計算してメモリにストアし、光学距離が必要になるたびに、これに各位置での吸収係数を掛けて光学距離を求める幾何情報保存法を考案し、プログラム化した。これにより、時間の長いモンテカルロ計算は、全計算のなかで一回だけ行えば良くなり、精度はほとんど変えずに、非灰色ふく射伝熱解析の計算時間を従来の1/6に短縮させることができた。
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