1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09555104
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
羽賀 浩一 仙台電波工業高等専門学校, 助教授 (30270200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 英夫 仙台電波工業高等専門学校, 校長 (70005255)
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Keywords | 酸化亜鉛 / ZnO / 感光体 / 価電子制御 / MO-CVD / 有機金属 |
Research Abstract |
本年度は、(1)酸化亜鉛の組成を決定しているZnとOの組成制御、(2)n型半導体である酸化亜鉛を真性半導体とする価電子制御の2つの課題について研究し、以下に示す結果が得られた。 ZnとOの組成を決定するには、ZnO薄膜の結晶配向性の制御が必要となる。結晶配向性は組成を変えるばかりでなく、感光体として必要な光感度や抵抗率も変化させる。これらの電気特性の変化は、結晶配向性に起因するZnとOの組成のずれによるものと考えられる。高精細レーザープリンタに適した結晶配向性は、一般的な作成法で容易に出現するc軸配向ではなく、光感度が高いa軸配向であることが基板にバイアスを加えて作成したスパッタ法により明らかとなった。しかしスパッタ法は、価電子制御が難しいこと、原材料の組成変化が大きいことなどから、本研究では、有機金属であるアセチルアセトナート亜鉛を用いた常圧MO-CVD法を中心にZnO薄膜の作成を進めてきた。しかし、この方法はc軸への優れた結晶配向性が得られるものの、この装置で変えうるプロセス条件下では、a軸配向を確認できなかった。そこで、スパッタ法により、数百Åのa軸配向の種結晶を形成し、その上部にMO-CVD法でZnO薄膜を堆積させる2段階の形成法を用いて、a軸配向ZnO薄膜を得ることが可能となった。現在、この薄膜の組成、電気特性を評価中である。 価電子制御の課題については、初めにZnO薄膜のp型不純物有機金属原料の調査を進めた。II-VI族であるZnO薄膜に用いる不純物としては、I族のLi、Cu、V族のN、P、As等が挙げられる。本研究では、Liを取り上げ、Li(C5H702)、Li(DPM)等の有機金属材料を用いてZnO薄膜の堆積実験を行った。しかし、Li(C5H702)は昇華温度まで上昇させると熱により材料が変質してしまう事から、比較的安定なLi(DPM)を選択した。この実験では、薄膜の抵抗率が数桁も増大することから価電子制御がなされていると考えられるが、不純物の量によっては非晶質構造も出現しており、更なる不純物量の制御が必要となる。
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