1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09555104
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
羽賀 浩一 仙台電波工業高等専門学校, 助教授 (30270200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 英夫 仙台電波工業高等専門学校, 校長 (70005255)
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Keywords | 酸化亜鉛 / ZnO / 感光体 / 積層薄膜 / MO-CVD / 有機金属 / ドーピング / スパッタリング |
Research Abstract |
本年度は、(1)酸化亜鉛薄膜を真性半導体とする価電子制御の最適化、(2)感光体に適した酸化亜鉛薄膜の積層構成の研究に関する研究実施計画で進める予定であった。しかし、研究を進めていくにつれて、酸化亜鉛薄膜中の亜鉛の未結合手による光応答特性の劣化という問題が確認された。これは、高精細レーザプリンタの性能を左右する大きな問題となる。本年度は、当初の実施計画に加えて光応答特性の改善を考慮に入れ、研究を進めた。 我々は、光応答特性の劣化の原因である未結合手の低減法として、以下の2つの手法を試みた。 まず、高周波スパッタリング法で酸化亜鉛を形成する際に、n型から真性半導体に変化させるp型ドーピング材料を導入し、未結合手の低減を試みた。使用したドーピング材料は、炭酸リチウムを代表とした数種のリチウム化合物である。この方法では、明らかに光応答性の顕著な改善が見られたが、光感度の減少も観察された。第2の方法としては、V族化合物である窒素ガスをプラズマ分解し、酸化亜鉛薄膜形成時に窒素ラジカルを加える試みを行った。さらに(2)の課題の予備実験として窒素を添加した薄膜領域を全膜厚の8〜25%と変化させ、光感度と光応答性の評価を進めた。窒素を添加した領域が25%の時、光感度が従来の10倍ほど向上し、光応答特性も大幅に改善された。 次に、本研究では、酸化亜鉛薄膜の作成方法としてMO-CVD法、スパッタリング法の2つの方法を平行して進め、高精細レーザプリンタに最適な感光体材料の製法の研究を進めている。感光体のような円筒形状の大口径ドラムに大面積で薄膜を形成するには、MO-CVD法が最も適しており、昨年度よりこの方法を主に検討してきた。しかし有機金属のドーピング材料と原材料であるアセチルアセトン亜鉛の昇華温度が異なり、装置の大幅な改善が余儀なくされた。本年度は、以上の理由から、MO-CVD法による感光体の研究については、昇華温度が異なる場合でも酸化亜鉛薄膜が作成できる装置の設計・製作に留まった。
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