1997 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解型スリットレーザ蛍光生体顕微鏡による組織内酸素分圧分布計測システムの開発
Project/Area Number |
09555120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 政廣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60158954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩 育 (株)ニコンエンジニアリング, 研究開発部(研究職), 部長
神谷 瞭 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50014072)
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Keywords | 組織酸素分圧 / 生体顕微鏡 / 微小循環 / リン光寿命 / Stern-Volmer / レーザー |
Research Abstract |
平成9年度の研究計画に基づき、リン光寿命計測用の時間分解型生体顕微鏡を試作し、骨格筋を対象に細動静脈を含め微小循環領域での酸素分圧分布の局所計測を試み以下の結果を得た。微小循環の観察および酸素分圧計測はウレタン腹腔内投与痲酔下ラットのcremaster筋を対象とした。酸素分圧計測用の酸素感受性リン光プローブにはPd-meso-tetra(4-carboxyphenyl)porphyrin(米国Porphyrin Products社製:以下Pdポルフィリンと略)を用い、頚静脈より約20mg/kg体重の濃度で注入後40分経過時よりcremaster筋において計測を行った。試作した時間分解型生体顕微鏡は、通常観察用の透過型照明とリン光寿命計測用の発振波長535nmのN2/dyeパルスレーザーを光源とする落射型照明の2方式を持つもので、x20長作動距離型対物レンズ使用時でレーザー照射径は15μmが得られる。酸素分圧(pO2)の定量化はパルスレーザー励起に対するPdポルフィリンのリン光寿命(t)を生体顕微鏡下で測定し、Stern-Volmerの関係式から算出する。リン光測光には光電子増倍管(浜松ホトニクス社製)を用い、20Hzパルスレーザーの照射に同期して時間分解能1msで20回の加算平均により1秒毎の酸素分圧が連続して得られる。骨格筋酸素分圧分布計測に先立ち、ラット腸間膜組織を対象に微小酸素電極を用いた同時測定を行い本法の性能評価を行った。微小酸素電極による酸素分圧測定範囲は直径約30μmで本法測定範囲の2倍の大きさを持つ。酸素吸入等により種々の状況において同時計測を行った結果、組織酸素分圧5mmHgから100mmHgの範囲において両者の測定値は10%以内の違いで良好な相関が得られた。安静時cremaster筋における細動脈酸素分圧は分岐前の1次レベルでの70mmHgから55mmHg(2次)、44mmHg(3次)と分岐を重ねるに低下したが、細静脈に近接した部位では、おおよそ細動脈酸素分圧マイナス15-20mmHgであったが、離れた部位(約100um)では5-8mmHgと著しい低下を示した。さらに酸素吸入時における組織酸素分圧変化は腸間膜組織のような急激な上昇は見られなかった。新たに試作した時間分解型生体顕微鏡により組織酸素分圧の局所計測が可能となった。また今回の結果より、安静時の骨格筋組織酸素分圧分布は、従来の組織円筒モデルでの解析結果以上に低下が大きいことが示唆される。さらに酸素吸入時の骨格筋組織酸素分圧の上昇が腸間膜組織に比べ少なかったが、このひとつの原因として細動脈酸素分圧の上昇に伴う開存毛細血管数の減少が考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Takahashi: "Mechanism of macromolecule concentration in collection lymphatics in rat mesentery." Microvasc.Res.54. 193-205 (1997)
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[Publications] S.Ichioka: "Effects of shear stress on wound-healing angiogenesis in the rabbit ear chamber." J.Surg.Res.72. 29-35 (1997)
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[Publications] N.Satake: "Endothelium-and cytochrome P-450-dependent relaxation induced by isoproterenol in rat aortic rings." Eur.J.Pharmcol.319. 37-41 (1997)
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[Publications] N.Satake: "The Involvement of Kc_a,K_<ATP> and K_V channels in vasorelaxing responses to acetylcholine in rat aortic rings." Gen.Pharmac.28-3. 453-457 (1997)