1998 Fiscal Year Annual Research Report
大気境界層を越える高さを有する超高層建物の空力制振効果の妥当性と耐風性能の評価
Project/Area Number |
09555173
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 哲郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90251660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅靖 鹿島建設, 技術研究所, 主任研究員
伊藤 嘉晃 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (40272702)
和田 章 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (90158684)
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Keywords | 大気境界層 / 超高空 / 強風 / 超高層建物 / 空力制振 / 温度成層風洞実験 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
高層建築物の超高層化が進む中で、その高さが500m程度にまで伸びると大気境界層より上空に頂部が達し、建物の一部が境界層を越えることになる。その場合超高層建物に作用する強風の性状は、風速分布、乱れの強度、成層性など大気境界層の内部と境界層を越えた部分とで、力学的な特性が大きく異なる。一方、そこまで高層建物も高くなると、合理的な構造物を造るためには作用する空気力を制御しながら耐風設計を進めることが避けられない。本研究では、大気境界層を越える超高層の建築物に強風が作用する場合について、風洞実験およびコンピュータシミュレーションの両面から風荷重の評価を行い、系統的にその特性を明らかにする。また、現実に近い様々な条件を考慮に入れて、大気境界層を越える超高層建築物に向いた空力制振技術を提案し、その耐風性能評価を行うものである。 本年度は、角柱モデルを対象として各種断面形状を微妙に変化させながら、数値シミュレーションを実施し、実験値と比較しながら計算結果の精度の検証を行った。また、シミュレーション結果のより詳細なデータを整理しながら、角柱の風圧力及び空力特性を明らかにした。続いて、ここで得られた特性をもとに、境界層の流れの乱流特性を考慮した空力制振に関する技術の提案を行った。また、空力制振の物理機構を流れの可視化技術により明らかにした。最後に本研究のまとめとして、耐風設計を視野に入れ、大気境界層を越える高さを有する超高層建物の空力制振技術の妥当性を検討した。制振が達成されている場合の空力的物理機構に基づき、提案技術の適用範囲を明らかにすることで、超高層建築物の耐風設計を合理化するための技術資料を提示した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 田村哲郎: "高精度・保存的流体計算法の耐風問題への適用性について その2 地面上の3次元角柱まわりの渦構造と空力特性" 日本建築学会構造系論文集. No.503. 37-43 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "動力学特性値の変化による空力不安定振動の応答評価" 日本建築学会構造系論文集. No.504. 15-21 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "正方形角柱の空力特性に与える隅角部形状効果の物理機構に関する系統的研究" 日本建築学会構造系論文集. No.514. 51-58 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "正方形角柱まわりの複雑乱流場におけるLESフィルタ幅と数値粘性の影響" 土木学会論文集. No.598/I-44. 227-238 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "角柱まわりの複雑乱流場に対するLES適用法の提案とその課題" 土木学会論文集. No.591/I-43. 151-162 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "境界層型模擬変動風の作成とその乱流構造" 第15回風工学シンポジウム論文集. 149-154 (1998)
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[Publications] Tetsuro Tamura: "Numerical prediction of unsteady pressures on a square cylinder with various corner shape" Journal of wind engineering industrial aerodynamics. 74-76. 531-542 (1998)
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[Publications] 田村哲郎: "構造物の耐風工学" 東京電機大学出版局, 688 (1997)
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[Publications] 田村哲郎: "乱数の数値流体力学" 東京大学出版会, 652 (1998)