1999 Fiscal Year Annual Research Report
固体電解質隔膜型水素センサを用いる高温高圧水中溶存水素計測システムの試作
Project/Area Number |
09555213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40111257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
杉本 克久 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80005397)
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Keywords | 溶存水素センサ / 高温高圧水 / 安定化ジルコニア / 固体電解質センサ / 軽水炉 / 水素透過 |
Research Abstract |
高度の安全性と信頼性が要求される発電用軽水炉では,炉心および1次冷却水系のステンレス鋼製機器・配管の応力腐食割れを防止する目的で冷却水への水素注入が実施されるようになってきた。これに伴い,水中の溶存水素(dissolved hygrogen;DH)濃度を精密にin-situ(その場)計測できるセンサが必要とされている。本研究では固体電解質隔膜型DHセンサを開発し,これを用いて高温高圧水用のDH計測システムを作製することを目的とする。本年度の成果は以下のように要約される。 1.高耐久性・高信頼性DHセンサの試作: センサの機械的強度の向上および使用温度範囲の拡大を実現するために,(1)平板上YSZとPTFE水素透過隔膜を用いたセンサ,および(2)平板上YSZとPd水素透過隔膜を用いたセンサを試作した。 2.高温高圧水におけるDH応答特性の測定: 試作した2つのセンサーを用いて,150〜350℃の範囲の各温度におけるDH応答特性を調べた結果,250℃以上の温度における出力電圧とDH濃度との関係は熱力学的理論式に一致することが分かった。また,溶液のpHおよび溶存酸素の影響はないことが分かった。Pd水素透過隔膜を用いたセンサは温度330℃まで使用できることが確認されたが,330℃以上の温度ではセンサの絶縁に用いたPTFEが損傷を受けことが分かった。 3.高温高圧水用DH測定システムの実用化: 以上の結果に基づき,センサの出力とDH濃度の関係を表す検量線を作成した。この検量線をデータベースとする高温高圧水用のDH計測システムを提案した。センサヘッドとしては,(1)チューブ状YSZ-PTFE(小型用),(2)平板状YSZ-PTFE(高強度用),(3)平板状YSZ-Pd(高温用)の3種類を用意し,用途に応じて使い分けられるようにした。
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