1998 Fiscal Year Final Research Report Summary
能動輸送模型リアクターによる微水系酵素反応システムの開発
Project/Area Number |
09555235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 展開研究 |
Research Field |
反応・分離工学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米本 年邦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40125688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 光敏 農林水産省, 食品総合研究所・食品工学部, 室長
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00261503)
川勝 孝博 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40282107)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Keywords | 能動輸送膜分離 / 高級脂肪酸の分離 / 微水系酵素反応 / 油脂の加水分解 / リパーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、能動輸送膜分離法と微水系酵素反応の要素技術を組み合わせることにより、高級脂肪酸を選択的に連続生産する微水系酵素反応膜型リアクターを開発することである。 まず、能動輸送膜分離法に関する研究として、自作した酢酸セルロース膜を用いた膜分離装置を作成し、この装置を用いてヘキサン溶媒中における高級脂肪酸の膜分離特性の検討を行った。高級脂肪酸にはミリスチシ酸、デカン酸およびオレイン酸を用いた。分離実験結果の解析により、オレイン酸は保持液側に濃縮され、デカン酸およびミリスチン酸は透過液側に濃縮されることが分かった。また膜の阻止率は、使用した脂肪酸では分子量の順に小さく、透過係数はオレイン酸、ヘキサン、ミリスチン酸、デカン酸の順に大きくなった。以上の研究により、酢酸セルロース膜を用いたヘキサン溶媒中での高級脂肪酸の分離では能動輸送現象が起こる可能性があることを見出した。 一方、微水系酵素反応に蘭する研究として、Oil-Water二相系においてリパーゼを用いた油脂のヘキサン溶媒中での加水分解実験を行い、加水分解速度に及ぼす諸因子の影響を検討した。基質である油脂にはトリオレインを、酵素にはトリオレインの3つのエステル結合部位をすべて切断するcandida rugosa sipaeを用い、加水分解によるオレイン酸の生成を試みた。この実験結果から、本加水分解反応では反応初期ではトリオレインからジオレインヘの反応が優先的に起こっているが、反応中期および後期ではジオレインからモノオレインヘの反応およびモノオレインからグリセリンヘの反応が逐次的に起こっていることが分かった。また、基質濃度が低い条件では、ジオレインヘの反応がより優先的に起こることも分かった。 今後、これらの各要素技術に関する詳細な研究から得られた知見を組み合わせることにより、能動輸送膜型リアクターの構築が可能となると考えられる。
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