1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09555242
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
大久保 惠 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (90132555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 康昭 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (40204838)
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Keywords | 水産生物 / 血液 / 有効利用 / ホワイトゴースト膜 / 固定化分子膜 |
Research Abstract |
水産生物の加工時に生じる赤血球膜物質と溶血液の工学的利用を目指し,イワシ,サバなど赤身の魚の血液の血球膜にヘモグロビンやポルフィリン等各種機能分子を組み込んで新たな選択的反応場を作り出すことを目的に進めている。2年次は、ホワイトゴースト膜とリシールドゴースト膜の安定的調製法の開発,血液の悪臭ガス物質分離の試験、生理活性物質を化学修飾した人工膜の作成を行い,次のような結果を得た。(1)安定なホワイトゴースト膜の調製を行うため,ヒツジ血液についてホワイトゴースト膜が形成される緩衝液濃度,温度等の条件と分離方法を検討し,平均径が1〜3μmの球状膜を得た。この手法はイワシ血液にも適用できて,均一な平均径1μmのホワイトゴースト膜を効率よく作製することができた。また,得られたホワイトゴーストから穴を再封したリシールドゴースト膜の作成を確認し,ヘモグロビンの再封入を行った。なお、ホワイトゴースト膜の調製過程の乾燥条件を変えることで網目構造型膜に変化することも明らかになった。(2)悪臭ガス吸収特性に関して,ガスクロマトグラフィーでメチルメルカブタンのヒツジ血液(魚血液の模擬試料として扱える)に対する反応性を定量的に評価した。メルカプタン吸収速度、吸収量ともにヘモグロビンの酸化状態の方が還元状態に比べて2倍大きくなること,吸収は非常に速い初期段階など3段階で進むこと,初期段階は2次反応で進行すること,吸収メルカプタンの脱離性があり,吸着剤として期待できることなどを見出した。(3)ヘミン誘導体をポリビニルアルコール鎖に化学的に固定した膜物質を作製した。固定化の割合がまだ小さいという課題が残るが,ホワイトゴースト膜内への封入およびゴースト膜との複層化のためのベースになった。
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