1997 Fiscal Year Annual Research Report
培地循環を伴う植物細胞培養法による抗ガン剤の連続生産プロセスの開発
Project/Area Number |
09555249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 実 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (80206622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古崎 新太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40011209)
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Keywords | 植物培養細胞 / イチイ / タキソ-ル / 抗ガン剤 / 培地循環 / 固定化 / バイオリアクター / バイオプロセス工学 |
Research Abstract |
本研究においては,「培地循環型のタキソ-ル連続製造プロセス」を実用化することを目標に,主として,以下の2点について検討を行う。主たる検討課題は,1)培養細胞によるタキソ-ルの分泌生産速度の限界を見究めるために,固定化細胞を用いた灌流培養において,高希釈率での律速段階を明らかにし,分泌生産を促進し高いタキソ-ル生産性を実現するリアクターの設計と操作条件を確立すること,2)培地中の低濃度のタキソ-ルを効率的に回収し、培養系へ戻して循環再利用するタキソ-ル分離方法を確立すること,の2点である。どちらの場合も,懸濁物を含んだ系であることを考慮して、前者については,ナイロンメッシュと沈降分離を組み合わせたル-ス固定化,後者については,Expanded Bed Chromatography の手法の適用を試みる。本年度は交付決定が遅れたこともあり、下記の検討を開始したところである。 (1)イチイ培養細胞の包括固定化条件の検討:アルギン酸カルシウムゲルを用いて包括固定化したイチイ培養細胞のタキソ-ル比生産速度を検討した。予想されたように包括固定化によるタキサン類の生産速度は,遊離細胞より低下する傾向が見られた。これは,生成物が培地中で懸濁物質とともに存在するためで、包括固定化すると,このような懸濁粒子の排出が抑制されるものと考えられる。従って、よりル-スな方法による固定化の検討が必要である。また,排出機構についての検討も継続している。 (2)灌流培養のためのバイオリアクターの操作条件の検討:固定化細胞を用いた連続反応において、灌流のための培地出口について、沈降管とステンレスメッシュを組み合わせたものを考案し,懸濁物質や比較的小さな粒子のみが培地と同伴して流出することを実証した。
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