1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09555275
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 峰夫 新潟大学, 工学部, 教授 (30149984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 康充 根本特殊化学(株), 平塚工場技術開発課, 課長代行
菅井 孝 根本特殊化学(株), 技術開発本部, 主任研究員
叶 作光 新潟大学, 工学部, 助教授 (60282993)
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Keywords | 蛍光 / 濃度消光 / 低次元 / 結晶構造 / パーコレーションモデル / 励起エネルギー |
Research Abstract |
本研究は、発光イオンが一次元鎖や二次元面に配置された特異な結晶構造を持つ化合物において高い輝度を示す化合物を探索するとともに、高輝度の発現に有効な低次元配置と励起エネルギー移動の機構に関する基本的な知見を得ることを目的としている。まず、モデル化合物として、代表的な発光イオンである希土類のEu^<3+>イオンが二次元面を形成している層状ペロブスカイト化合物であるSrRE_2AL_2O_7,BaRE_2Ti_3O_<10>,RETa_3O_9そしてRbRETa_2O_7(RE=希土類)におけるEu^<3+>発光の濃度依存性を研究した。最も高い蛍光強度は、二つのタンタル化合物RETa_3O_9およびRbRETa_2O_7において観察された。これらの化合物における濃度消光は、ホスト格子註のEu^<3+>サイト間の二次元的な相互作用を持つパーコレーションモデルで説明できる。このモデルから、Eu^<3+>サイト間のエネルギー移動は、希土類副格子における再隣接サイトの間で多重極子-多重極子相互作用により起きるということが結論付けられた。この結果は、超交換相互作用が作用すると考えられていた従来の定説を覆すものであり、蛍光物質における励起エネルギー移動の機構の解明に寄与する重要な知見である。 また、これらの結論より、VO_4四面体の一次元鎖からなるアルカリ金属バナジン酸塩AVO_3(A=K、Rb、Cs)を新しい高い輝度蛍光体の候補として選択し、蛍光特性を調査した。その結果、これらの化合物が優れた緑色発光を示すことを確認した。このような分子設計の立場からの材料開発は、従来の蛍光体の研究には存在しなかった新しい考え方である。
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Research Products
(1 results)